以前に「毎年計算し直される年金額」の記事に書いたとおり、国の年金は物価や賃金の水準に応じて毎年見直される仕組みになっています。年金の実質的な価値を維持するためです。

昨日(1月26日)、厚生労働省より2018年4月以降の年金額の改定が公表されました(こちら)。結論としては「据え置き」。2017年度から金額の増減はありません。

冒頭に、年金額は「物価や賃金の水準に応じて毎年見直される」とサラッと書きましたが、その仕組みは結構複雑です。下の図は、横軸に物価変動率、縦軸に賃金変動率をとり、それらの大小関係などにより、年金額がどう改定されるのかを示したものです。
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詳細については最初に紹介した以前の記事を見ていただくとして、2018年度の改定にあたっては、
  • 賃金上昇率:▲0.4%
  • 物価上昇率:0.5%
となったため、上の図の③のケースに該当し、年金額は据え置きとなりました。2年前の2016年度の改定のときと同じ結果となっています。

なお、賃金・物価上昇率により年金額がプラス改定となったときには、さらに「マクロ経済スライド」による調整がかかることとなります。現役世代の人口減少や平均寿命の延びを勘案して年金額の伸びを抑えるための調整です。

今回の2018年度の改定では本来▲0.3%の調整率がかかる計算となりますが、賃金・物価上昇率による改定がゼロとなったことから、そこからさらにマイナスに引き下げることはしないルールになっています。

しかし、2016年度の改定時からはルールが変更された点があります。それは、適用されなかったマクロ経済スライドの調整率が次回以降に持ち越されるということです。

もし、次回2019年度の改定において、賃金・物価上昇率による年金額の改定がプラス1%、マクロ経済スライドの調整率が▲0.3%だったとすると、2018年度の調整率を合わせた▲0.6%が差し引かれ、最終的には0.4%のプラス改定となります。

ただ、賃金や物価がいつまでも上がらなければ、持ち越される調整率がどんどんたまっていくことになります。そうなると、マクロ経済スライドによる調整が実質的に機能しないことになるため、賃金・物価上昇率による年金額の改定がプラスにならなくても調整率を適用するようなルール変更がさらに必要になるかもしれません。