企業型の確定拠出年金(DC)において、法令上の定めはないものの、実務上認められている取り扱いとして「掛金の中断」があります。

<厚生労働省 確定拠出年金Q&Aより>
掛金は、原則事業主が年一回以上、定期的に拠出するものであるが、給与が支給されておらず、合理的な理由があり、かつ、労使合意のうえ規約に明確に規定されているのであれば中断も可能。
確定給付企業年金(DB)においては、休職時には加入資格を喪失し、給付を繰下げておいて復職した時に再度加入する取り扱いとしているケースもあります。

一方企業型DCにおいては、加入資格を喪失した後、同じプラン内で運用指図者(掛金の拠出はなく運用のみを継続する者)となれるのは60歳以降に資格喪失した場合に限られるため、休職時に一時的に加入資格を喪失させる取り扱いは基本的にありません。

このため、加入者でありながら掛金が拠出されないという特例的な取り扱いがあり、一般的には以下の3つの期間について掛金を中断する規定を設けているケースが多くなっています。
  • 休職期間
  • 育児休業期間
  • 介護休業期間
しかし、産前産後休業(産休)については掛金の中断期間とはなっていません。従業員側の都合による休職とは異なり、産後8週(医師が認めた場合は6週)は法律上就業することができず、上記Q&Aの「合理的な理由」に該当しないという解釈であると考えられます。したがって、産休中は給与の支給は停止しても、DC掛金の拠出は継続することとなります。

ところで、企業型DCの中には、従業員本人の選択によりDCに加入し、給与の一部を振り替える形で掛金を設定している制度もあります(いわゆる選択制DC)。企業にとっては、多くの従業員がDCを選択することで標準報酬月額が低下し、社会保険料負担を軽減できるメリットがあります。

しかし、選択制DCにおいてDCに加入している従業員が産休に入り無給となった場合でも、やはり掛金の拠出は継続することになりますから、この部分についてはいわば会社側の持ち出しとなります。

逆に従業員にとっては、この点だけを見れば、できるだけ多くの額を給与からDC掛金にシフトしておいたほうが有利になりますが、以前の記事に書いたとおり、出産手当金や育児休業給付金は直近の給与水準に連動するため、これらを含めたトータルで考えると必ずしも有利とは言えません。