都道府県や市町村の議員を厚生年金の加入対象とすることを目指し、自民党内で検討が進められているようです。
以前は、地方議員を対象とした議員年金というのがあったようですが、市町村の合併により議員数が大幅に減少し、財政がもたなくなったため2011年に廃止されています(国会議員についてはそれより前の2006年に廃止)。

しかし今回、地方議員のなり手不足の解消を理由に、従来の議員年金に代わるものとして厚生年金への加入が検討されているわけですが、これをどう考えればよいでしょうか。

厚生年金は、より一般的な言葉でいえば被用者年金、つまり企業などに雇用され、報酬を受け取っている人のための年金制度です。従来は定年退職年齢である60歳から年金が支給されていましたが、現在は企業が雇用を確保すべき年齢と連動して支給開始が65歳に引き上げられているところです。企業から雇用されなくなった従業員の老後の収入を確保するための年金制度だといえます。

その観点からは、会社と雇用関係にあるわけではない経営者は厚生年金の対象外となってもおかしくないですが、常勤で、勤務の対価として会社から定期的に報酬を受け取っていれば、経営者であっても従業員と同様に厚生年金の加入対象となります。

公務員についても、従来は民間とは別個に共済年金制度が用意されていましたが、現在は厚生年金に統合されています。一般の職員はもちろん、都道府県の知事や市町村長といった常勤の特別職も厚生年金の加入対象となっているようです。民間企業の経営者に相当するものと考えればよいでしょう。

これに対して、議員は「議員報酬」という形で実質的な給与を受け取ってはいるものの、毎日決められた場所で決められた時間に仕事をするというものではないため、現状は非常勤の特別職という扱いで厚生年金の対象とはなっていません。

誰の指揮監督下にも置かれることなく基本的には1人1人が独立して仕事をしており、年齢による制限もないことから、実態としては厚生年金の対象とならない個人事業主に近く、なり手がいないからと言って今の年金制度の枠組みの中で厚生年金に加入させるのはやはり違和感があります。必要なら報酬を増やしてiDeCo(個人型確定拠出年金)なり国民年金基金に加入すればよいでしょう。

ちなみに、地方議員の報酬は自治体による格差が大きく、東京都は月額100万円を超える一方で、小さな町や村では20万円を下回るところも多いようです。

仮に報酬の月額が20万円だとすると、厚生年金保険料の本人負担分は1.8万円程度と国民年金保険料(16,490円)よりも若干増えますが、加入期間1年あたりの年金額は約2万円から1.3万円ほど増える計算になります。

一方で自治体側の厚生年金保険料の負担も新たに1.8万円程度発生することとなります。厚生年金以外の共済制度(健康保険や年金払い退職給付)にも加入するとなると、それらに対する保険料負担も加わります。