今週12月5日、企業会計基準委員会(ASBJ)にて、マイナス金利に対する退職給付債務計算の割引率の設定に関する「実務対応報告」の公開草案が議決されました。来年(2018年)2月7日までのコメント募集期間を経たのちに、遅くとも3月には最終基準が出る予定です。

<2018/3/14追記>
最終基準は公開草案通りの内容で3月13日に公表されました(こちら)。
<追記終>

今年3月に出された実務対応報告第34号では、「2017年3月31日に終了する事業年度から2018年3月30日に終了する事業年度まで」に期限を区切り、マイナスの利回りに対して、割引率を0止めする方法とそのままマイナスの率とする方法のいずれも認めたうえで、最終的にどちらにするかは引き続き検討を行うこととしていました。

今回の実務対応報告案の内容は、この期限を延長し、「いずれの方法によっても退職給付債務の計算に重要な影響を及ぼさず、当該取扱いを変更する必要がないと当委員会が認める当面の間、適用する」としています。要は、どちらか一方に決めることは今はできないので、状況が大きく変わらない限りは現状どおりとするということです。

実際、これまでの議論でも、どちらか一方の方法に収束する気配はなかったですし、基本的には今回の案のとおりで確定するのはほぼ間違いないと思います。

ただ、今回の公開草案の議決には委員の1人から反対意見が出されています。その内容は、こちらのページに掲載されている「コメントの募集及び本公開草案の概要」の中に書かれており、概要は以下のとおりとなっています。
  • 原則としてマイナス利回りをそのまま利用する方法に限定すべき
  • 0止めはプラス利回りの場合の取り扱いと整合性が取れておらず、また0止めを支持する理由は合理的でない
  • もし0止めを許容するとしても経過措置と位置づけ、その利用には制限を課したうえで、マイナス利回りをそのまま利用する場合との差異について開示を求めるべき
  • 「当委員会が認める当面の間、適用する」といった不明確な規定では、必要なときに見直しが行われない懸念が大きい
こちらの反対意見のほうを支持するコメントも、いくつか出てくるかもしれません。

ところで、ASBJでの議決に反対意見が出ることは(私の見ている範囲では)あまりないのですが、どれだけの賛成があれば議決されるのでしょうか?ちょっと気になってASBJのサイトを見ていたら、「委員の5分の3以上の多数をもって議決する」とありました。今回のケースなら、委員14名中9名以上の賛成で議決されるということです。

でも「5分の3以上」という基準もなかなか微妙ですね。他では見たことがありません。過半数じゃ緩すぎるし(収束に向けてもっと議論が必要)、3分の2以上だと期限内に意見がまとまらない場合に困るし、みたいな感じで間を取ったんでしょうかね。