先週11月9日、企業年金連合会による確定拠出年金(DC)のセミナーに参加してきました。
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はじめに、厚生労働省の企業年金・個人年金課の担当者より法令等の改正事項について話があったのですが、その中で、企業型DCにおける指定運用方法の選定プロセスについての説明がありました。

指定運用方法は従来の「デフォルト商品」に代わるもので、商品ラインナップの中からあらかじめ1つを指定しておき、加入者が自ら運用商品を選択しない場合にはそれを選んだものとみなす取り扱いです。2016年の改正法により、指定運用方法の選定基準や、”選んだものとみなす”までの手続きが法律に明記され、来年(2018年)5月から施行される予定です。

詳細を定めた政省令は今年の9月にパブリックコメントに付されており、年内の公布を目指して作業を進めているとのことです。

さて、その指定運用方法の選定プロセスについて、当日の資料をもとに簡単にまとめたのが下の図です。
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上記のように、法令に則った形で丁寧に進めようとすると、それなりに時間と手間がかかるはずです。来年5月の法施行までに、あるいはその直後の新卒社員の入社時期である再来年の4月までに、規約変更の手続きを含めて全国で5千件以上ある規約に対してどこまでの対応ができるのかは疑問に思うところです。

特に不特定多数の企業が参加する総合型DC規約の場合、一律に指定運用方法を定めるのか、事業所ごとに設定することを可能にするのかは現時点では明らかではないですが、いずれにしても個々の事業所の状況を汲み取っていくのは難しいでしょう。

運営管理機関からはほぼ機械的に定期預金とバランス型投信から数種類の候補が企業側に提示され、十分な協議も行われないまま定期預金でよいとう結果が伝えられ、結局これまでのデフォルト商品と変わらず、手続きだけが増えるという結果になってしまうのでは、何のための法改正だったのかということになります。

あるいは、ターゲットイヤー型投信を商品ラインナップに追加したうえで指定運用商品とする提案が運営管理機関からあるかもしれませんが、一口にターゲットイヤー型といっても資産配分や信託報酬などは様々であり、通常のバランス型投信を含めた比較検討が必要です。

指定運用方法は、単に運用商品を選択しない(できない)場合の例外的な対応ということではなく、長期の積立投資にふさわしい商品はこれだという加入者へのメッセージでもあります。安易に事務的な流れで決めてしまうのではなく、自社のDCについて「望ましい運用状況とはどういものなのか?」を改めて考える機会にしたいところです。

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