年金資産の運用結果を最も大きく左右するのは資産配分、つまり、どの種類にどれくらいの割合で資産を配分するかということです。運用の対象となる資産の種類には様々なものがありますが、大雑把には「株式」「債券」「預金・保険等の元本確保タイプの資産」の3つに分けられます。

では、一般的にはどれくらいの割合で配分されているのでしょうか?

確定給付企業年金、確定拠出年金それぞれの平均的な配分割合と、国の年金資産を運用しているGPIFの配分割合を比べると、概ね下のグラフのようになります。

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結構違いがあるのがわかりますね。

では、A、B、Cはそれぞれ確定給付企業年金、確定拠出年金、GPIFのどれにあたるでしょうか?


…答えは次のとおりです。

A. 確定拠出年金
B. 確定給付企業年金
C. GPIF


各個人が運用商品を選択する確定拠出年金では、元本割れのない定期預金等の割合が半分を超えており、まだまだ投資に対する不安や抵抗感が大きいことが伺えます。

一方で、個人によって運用内容が大きく違うのも確定拠出年金の特徴です。資産の全部を定期預金にしている人もいれば、全部を株式に投資している人もいて、その結果、運用成績も二極化する傾向にあります。

会社側が運用責任をもつ確定給付企業年金では、以前はもっと株式の割合が高かったのですが、リスクを抑えることがより重視されるようになり、債券の割合が高くなってきました。

確定給付企業年金の「預金・保険等」に当たる資産の多くは生命保険会社の一般勘定であり、1.25%の保証利回りがついているものが主流です。超低金利の現在にあっては破格の条件と言っても過言ではないですが、新規契約はほぼ停止されており、保証利回りがゼロに近い他の商品などに置き換わりつつあります。

2つの企業年金に比べて株式の割合が高く、リスクをとった運用をしているのがGPIFです。以前は国内債券の割合が高く、安定型の資産配分となっていましたが、2014年の基本ポートフォリオ見直しにより株式の割合が50%と大幅に引き上げられました。

実際には、年金の支払い等にすぐ充てられるように、一部を短期資産(「預金・保険等」に当たる資産)として保有しているため、株式の割合は50%をやや下回る水準で推移しています。

国の年金給付は、今後しばらくは保険料と税金でほぼ賄われ、その後数十年以上という長い期間をかけて徐々に運用資産を取り崩していく見通しであるため、ある程度リスクをとった運用も許容されるものと考えます。

ただ、リーマンショックのようなことが起こると一時的には大きく資産を減らすことになりますから、年金不安・不信の増大や政治問題化につながる危険性もはらんでいると言えるでしょう。