昨日は国民年金基金について書きましたが、今日は企業年金連合会を取り上げたいと思います。

企業年金連合会では、中途退職等により確定給付型の企業年金を脱退したり、加入していた年金基金が解散するなどして積立が継続できなくなった場合にその資金を引き継ぎ、65歳まで運用してそれ以降年金として支給する事業を行っています。

一般の企業年金や国民年金基金とは違い、企業年金連合会に”加入”して掛金を積み立てることはできません。あくまで個々の企業年金で積立が継続できなくなった資産を預かって年金化するだけです。

したがって、積立不足が発生した場合に新規加入を増やしてその掛金の運用益でカバーするということはできないため、より慎重な運営が求められます。

一昨日(10月10日)、企業年金連合会から2016年度の年金資産運用状況と決算・業務報告書が公表されました。それによると、将来の年金給付に備えて積み立てるべき資産額(責任準備金)に対して、実際の積立額は1兆1337億円のプラス(率にすると+10.8%)となっており、一定の余裕を確保している状態にあります。

企業年金連合会の運用資産は「基本年金等」と「通算企業年金」の2つに分かれていますが、大部分を占める基本年金等の2016年度運用利回りは5.96%であり、これによって約1100億円の余裕資金を積み上げる結果となっています。

国民年金基金連合会が5.71%と同程度の利回りを確保したにもかかわらず、積立不足を拡大させたのとは対照的です。

企業年金連合会も、予定利率が高かった頃に預かった資金を多く抱えている点では国民年金基金と同じであり、この部分については4%台後半の運用利回りを確保する必要があります。

しかし責任準備金の8割近くを占めるのは、厚生年金基金経由で預かった「代行部分」、すなわち国の厚生年金に代わって運用している部分であり、この部分については厚生年金本体の運用利回り(≒GPIFの運用利回り)を上回った分だけ余裕資金に回すことができます。

リーマンショックのあった2008年度の運用利回りは▲18.34%と厚生年金本体の利回り(▲6.83%)をも大きく下回り、積立不足も2兆8千億円以上と過去最大規模にまで膨らみましたが、2009年度以降はほぼ一貫して厚生年金本体の利回りを上回ったことにより、現在の水準にまで回復してきました。

しかし厚生年金基金制度を原則廃止する法改正により、企業年金連合会も将来的に代行部分を国に返還することが求められているため、いつまでも代行部分の運用益に頼った運営はできません(そもそも今後も厚生年金本体を上回る利回りを確保できる保証はない)。

代行部分の返還のタイミングをどう見極めるのか、また、返還後の財政運営をどうしていくのかは企業年金連合会にとっての大きな課題です。ただ現時点では、国民年金基金と比較した制度の持続可能性は高いと言えるでしょう。