厚生労働省及び国民年金基金連合会のiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)公式サイトにて、2017年8月の新規加入者数と8月時点の加入者総数が公表されました(公式サイトはこちら)。

新規加入者数は3.7万人で前月比+0.1万人と、今年に入ってからの増加基調をキープしています。そして加入者総数は62.0万人となり、2016年12月時点の30.6万人から倍以上に増加しました。

その一方で、企業型の確定拠出年金を実施している会社を中途退職し、その後個人型に移るための正規の手続きを取らずに資産が塩漬け状態になっている「自動移換者」の増加も続いており、8月時点では67.6万人とまだ加入者よりも多い状態です。

今のところ、個人型の加入対象拡大は、新規自動移換の抑制やすでに自動移換となっている人の加入には必ずしもつながっていないようです。

ところで、イデコに加入する社員が1人でもいる事業所は国民年金基金連合会に事業所登録を行う必要があるわけですが、8月時点の登録事業所数は26.8万事業所となっています(今年に入って4割増)。加入者数のうち第2号加入者(会社員・公務員)は50.7万人ですから、1事業所あたりの加入者数は2人にも満たない計算ですね。

同じ事業所の中で掛金の払い込み方法が異なる社員がいる場合(個人払込と給与天引き)、事業所登録は両方で行うので一部は重複している可能性がありますが、それを考慮してもせいぜい2人くらいでしょう。

大企業の多くが企業型を導入済みで個人型の対象になっていないということもあるかもしれませんが、職域を通じた加入というのがあまり広まっていないと言えそうです。

また、厚生年金の適用事業所は全部で約200万ありますから、社員にイデコ加入者がいる事業所の割合は全体の1割強にとどまっている計算になっています。多くの中小企業の担当者にとっては「イデコ?何それ?」っていうくらいの認識なんでしょうね。

会社員のイデコ加入に際し、事業主による証明等の手続きを課している現行の仕組みのもとで加入率を向上させるには、事業主に対する何らかのインセンティブを考える必要があるかもしれません。