少し前に、遠方に住む親の介護のために退職した場合の失業保険の扱いに関する記事がありました。

失業保険は正式には雇用保険の基本手当といい、以下の条件を満たす場合に給付されることになっています。
  • 離職前の2年間のうち、雇用保険に加入していた期間が12ヶ月(会社都合の場合は6ヶ月)以上あること
  • 再就職の意思と能力があること
上のケースの場合、親の介護が理由なので自己都合による退職となります。しかし「特定理由離職者」として認められた場合は会社都合での離職と同等の扱いになり、親の介護が必要になるなどの家庭事情の急変はその理由の1つとして認められていますので、6ヶ月以上の加入期間があれば1つ目の条件を満たすこととなります。

また、親を介護しながら近くの場所で再就職先を探すということであれば、2つ目の条件も満たすこととなります。

会社都合扱いのため、ハローワークで申込をして受給資格が決定してから1週間後から支給が始まり(自己都合扱いの場合はプラス3ヶ月待たなければならない)、退職前の給料の45%~80%相当の手当が支給されます。支給日数は退職時の年齢や雇用保険の加入期間により異なり、90日~330日となっています。

以上が介護による離職の場合の概要ですが、では60歳定年を機に再就職先を探す場合の扱いはどうなっているのでしょうか。

定年退職も会社都合による退職ですから、定年後すぐに再就職の意思をもって手続きを行うことで、上記の介護の場合と同様の取り扱いとなります。20年以上勤めていた(雇用保険に入っていた)会社を定年退職する場合の支給日数は240日となっています。

なお、退職時の年齢が65歳以上になると基本手当の支給対象外となりますが、代わりに高年齢求職者給付金というものが用意されています。退職前の1年間のうち雇用保険の加入期間が6ヶ月以上あり、再就職の意思があれば手続きを行うことで受け取ることができます。

ただし受給できる金額(支給日数)については基本手当のほうが多くなっています。加入期間が1年以上の場合、65歳で退職した場合(高年齢求職者給付金)の金額は50日分ですが、65歳前に自己都合で退職した場合(基本手当)の金額は加入期間1年以上で90日分、10年以上で120日分、20年以上で150日分となっています。

65歳以降も仕事を続けたいけれども、今の会社の雇用延長の上限が65歳で他の勤務先を探したい場合、退職のタイミングは雇用保険からの給付内容も勘案して考えるのがよさそうです。

<2018/8/29追記>
年金との併給調整について、こちらの記事に書きました。