先日、日本FP協会大阪支部のスタディ・グループ(SG)に参加してきました。テーマは「介護コンサルタントに聞く!~介護の現状とお金の知識~」。講師は、運営管理者としていくつもの施設の経営立て直しに携わった経験を持つ医業経営コンサルタントの池田光政さんで、介護保険の利用に関する現場の実態を交えた話がとても興味深いものでした。

タイトルにもあるとおり、介護にかかるお金や介護保険との関係についても詳しい解説があり、医療との共通点・相違点についても理解が深まりました。

例えば、介護保険サービスの費用については、サービスの種類や時間、要介護度に応じて細かく単位数が決められており、これに単価を掛けたものがそのサービスの値段となっています。医療費(診療費)が、医療行為ごとに定められた点数×単価(10円)で計算されるのに似ています。但し介護サービスの単価は全国一律10円ではなく、都市部ほど高めの設定になっています。

また、医療保険には利用限度というものがありませんが、介護保険には要介護度に応じた利用限度単位が定められていて、その単位数を上回った分のサービス費用は全額自己負担となります。平日の昼間だけデイサービス等を利用するだけなら利用限度に収まって自己負担は月に3万円程度なのが、土日も利用することになると利用限度を超えてしまうため自己負担額が一気に10万円単位に増えてしまうというケースもあります。

利用限度内であれば自己負担は1割または2割となりますが、それでも高額になってしまう場合のために高額介護サービスの負担上限額というのが定められています。利用者の所得に応じて月に15,000円、24,600円、44,400円の3段階に分かれています。これも医療費と同様の仕組みですね。

ところで、この所得に応じた負担額の表を見て私が連想したのが保育料のテーブルです。保育料は、親の所得に応じて決められています。保育所に預けられるのは子どもですが、そのサービスを受けるのは子どもを預けることで仕事に行ける親であり、親の所得に応じて料金が決められています。

では介護サービスを受けているのは誰なのでしょうか。もちろん直接的には介護を受ける本人なのですが、介護サービスというのはむしろ介護する側の家族の負担軽減のためという意味合いのほうが大きいのではないでしょうか。介護サービスがあることで、家族が要介護状態になっても仕事を辞めなくて済むということもあるでしょう。

そうすると、介護を受ける本人の所得だけでなく、介護する側の所得も勘案して負担額を決めるという考え方もありそうな気がします。ただ、保育所に預けられる子どもと保育サービスを受ける親との対応関係は明確であるのに対して、介護サービスを受けることにより負担軽減の恩恵を受ける人というのは一律に決まるものではないところが難しいですね。