先日、国家公務員の退職手当(退職金)を引き下げるというニュースがありました。
地方公務員についても国に準じて減らすよう自治体に条例改正を求めるとあります。

公務員の退職金水準は民間企業の水準との比較により見直されることとなっており、今回の見直しは今年(2017年)4月に人事院から公表された調査結果に基づくものとなっています。

<参考記事>
厚労省とは異なる人事院による退職給付の調査結果

公務員の退職給付は、民間企業の退職一時金にあたる退職手当と、民間企業の企業年金にあたる共済年金給付で構成され、このうち退職手当は「退職時点の俸給月額×勤続年数に応じた支給率」で計算される基本手当と、等級に応じて定められた調整月額の直近(もしくは最も等級の高かった)60か月間の累計である調整額の合計となっています。

民間企業に合わせた退職給付の水準の調整は、退職手当の基本手当を算出する際の支給率に調整率を乗じる形で行われ、これまでの改正の経緯は以下のとおりとなっています。

1973年:水準引き上げのため、調整率を導入(120/100)
1981年:水準引き下げのため、調整率を110/100に引き下げ
2003年:水準引き下げのため、調整率を104/100に引き下げ
2012年:水準引き下げのため、調整率を87/100に引き下げ
2018年:水準引き下げのため、調整率を84/100に引き下げ(?)

前回2012年の改正時には減額幅が大きかったため、段階的に引き下げる措置が取られましたが、それでも学校の先生が(退職金が減らないように)学期末を待たずに辞めてしまうなどの影響が出ました。

民間企業で退職金制度を見直す場合、通常は既得権に配慮して、制度改定後に退職した場合でも、制度改定直前に退職したとした場合の金額を保証する対応を取ります。倒産の危機で払いたくても払えないようなケースは別として、単に水準が高すぎるからという理由で既得権を保証せずに退職金を引き下げてしまったら、訴訟には間違いなく負けるでしょう。

この点、公務員の退職手当には既得権という考え方がないようです。金額水準そのものは高くても、思わぬ減額のリスクがあるということですね。