野村資本市場研究所から「確定拠出年金(DC)の運用制度改革の方向性-DC運用専門委員会の成果と課題-」と題した研究レポートが公表されています。長年確定拠出年金を研究テーマとしている野村亜紀子氏により執筆されたものです(こちらに掲載)。

レポートでは、DC運用専門委員会での議論を総括しつつ、その結果を踏まえて、政省令や法令解釈通知の制定及び実際の制度運営において、期待される点や留意すべき点についてまとめられています。そして最後に今後の課題として、「兼務規制の緩和」と、その次のステップとしての「個別相談の解禁」ならびに「投資一任サービス導入の検討」の3つを挙げています。

1つ目の「兼業規制」とは、金融機関の営業職員がDCの加入者に対して運用商品についての情報提供を行ってはならないとするものです。建前上、運用商品についての情報提供を行うべき運営管理機関は中立でなければならないことから設けられているものですが、DCに加入する前の段階では説明できることが、DCに加入した後ではできなくなるという奇妙なことも起こりえます。

2つ目の「個別相談」に関しては、DCにおいては、運営管理機関は個別の商品を選択すること、またはしないことを勧めてはならないとされています。これも中立性確保の観点から定められているものと思われますが、加入者のニーズに応えることを難しくしている面もあります。

3つ目の「投資一任サービス」は、運用商品の選択自体をプロに任せるというサービスであり、米国ではすでに提供されているようです。もしこれをやるのであれば、DCの運用商品に範囲を限定するのではなく、家計の金融資産全体を対象として、どの制度にいくら資金を置くのかという「アセット・ロケーション」も含めて実施するのが効果的でしょう。

上記3点は、いずれも金融機関側から見た規制緩和であり、そういう意味では著者の所属する組織の立場というものも反映されていると考えたほうがよいかもしれません。しかしその規制のもととなっているのは、個人の投資に関わるものであってもDCはあくまで厚労省の管轄であり、一般の金融商品とは異なる法規制がかかっていることにあります。

この点については、個人の立場から見ても、例えばつみたてNISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)が似たような性質を持ちつつも、必要な手続きは全く異なるなど、制度の利用の妨げとなっている面があります。

金融庁が9月に開催予定としている「つみたてNISAフェスティバル2017」では、自身が管轄するつみたてNISAだけでなくiDeCoも含めた活用法をテーマとして取り上げており、省庁の壁を超えた連携の動きも感じられます。現役世代の資産形成のため、いかに有効に活用される制度にしていくかという観点から、両者が連携して制度の改善が進んでいくことを期待したいと思います。