一昨日の記事「社員の卒業後が会社の評価を左右する」では、人生の中でのセカンドライフの重みが増していく中で、大学などの教育機関がそうであるように、会社を”卒業”した社員のその後が会社に対する評価につながるのではないか、ということを書きました。

評価項目として学生の進学や就職の実績を重視する教育機関であれば、知識や能力の向上とともに、進路指導や就職支援にも力を入れることになるでしょう。ちなみに私のいた大学では就職活動に対する直接的な支援は皆無でしたが、それでも大学で保険数学の講座を履修する機会があったことが、アクチュアリーの道へつながったことは間違いありません。

一方で、会社は教育機関ではありませんし、社員は定年後の目標のために今の会社に入社したわけではないでしょう(少なくとも新卒入社については)。したがって、会社にてきること、やるべきことは、"卒業"する社員に対して一律にゴールを示すことではなく、社員が主体的に卒業後の進路を選びとれるようにサポートすることであると考えます。

そのためには、まず今卒業生に対して用意されている制度(会社の退職金や継続雇用制度のほか、公的年金制度など)の内容をしっかりと伝え、その上で自分の卒業後の進路について考える機会を設けることが必要でしょう。卒業後も活躍している社員(OB)の事例を紹介することも有効だと思います。

その際、多くの会社では、退職金は「定年でリタイアするためのもの」ではなく、「様々な選択肢を可能とするためのもの」という位置づけになるのではないでしょうか。退職金があることで、収入が減少したり一時的になくなってしまっても、自分のやりたい仕事、やりがいの感じられる仕事に就いたり、チャレンジすることができるようになるからです。