確定拠出年金(DC)の継続教育の資料を作っていて今さらながら感じましたが、スイッチングの操作ってほんと面倒ですね(スイッチングに関する説明は以下のとおり)。
DCの運用方法の見直しには2つの方法がある。1つは今後積み立てていく掛金に対する商品の配分変更(これを「掛金の配分変更」と呼ぶ)であり、もう1つはこれまで積み立てた資産に対する商品の配分変更(これを「スイッチング」と呼ぶ)である。
スイッチングを加入者Webサイトで行う場合、まず売却する商品を選択し、それとセットで購入する商品を選ぶという手続きを取ります。例えば、これまで商品Aで運用していた資産をそっくりそのまま商品Bに入れ替える場合であれば、売却商品としてAを選択して全部売却、購入商品としてBを選択、という2つの手順で済むので比較的簡単です。

しかし、例えば以下のように商品構成を全体的に見直したい場合はどうすればいいでしょうか。

【見直し前】 ――> 【見直し後】
商品A:22%     商品A:15%
商品B:18%     商品B:15%
商品C:45%     商品C:50%
商品D:15%     商品E:20%

掛金の配分変更であれば、将来に向かっての変更なので、見直し後の配分割合を入力すればそれでOKです。しかしスイッチングの場合は売却と購入の手続きを1つずつ行っていく必要があるので、次のような手順を踏まなくてはなりません。

Step1.売却商品・売却量と購入商品・購入量の整理
【売却商品と売却量】
商品A:22%のうち7%分
商品B:18%のうち3%分
商品D:15%のうち全部

【購入商品と購入量】
商品C:5%分
商品E:20%分

Step2.売却と購入の組み合わせ
①商品Aの売却(5%分)と商品Cの購入
②商品Aの売却(2%分)と商品Eの購入
③商品Bの売却(3%分)と商品Eの購入
④商品Dの売却(15%分)と商品Eの購入

Step3.スイッチングの実行
Step2の①~④について、順にスイッチングの手続きを行う。例えば①については次のような手順となる。
  1. 売却商品として商品Aを選択
  2. 「一部売却」を選択
  3. 売却口数を設定…商品Aの残高が220,000口だったとすれば50,000口(=220,000×5%/22%)を設定
  4. 購入商品として商品Cを選択
※JIS&Tの加入者サイトではStep2の①と②を1回ののスイッチング手続きにまとめることも可能。この場合、3の手順で売却口数を70,000口とし、4の手順でCとEを購入商品として選択し、それぞれの購入量を50,000口分、20,000口分に設定。


このStep1と2をすっ飛ばしていきなりStep3の操作をやろうとすると、多分混乱すると思います。商品AをBにそっくり入れ替えるというような単純なスイッチングならともかく、複数の商品について構成割合を変更させるようなスイッチングの場合には、操作を始める前にStep1と2で操作内容をあらかじめ整理しておくのがよいでしょう。

掛金の配分変更と同じように、変更後の商品構成割合を指定したら、あとは自動的にやってくれるような機能が加入者サイトにあると、こんな面倒なことはしなくていいんですけどね…。

DCに関しては、加入者が運用商品を適切に選択できるよう、継続教育の充実や商品数の絞り込み、商品の提示方法などが議論されてきましたが、実際の手続きを考えると加入者サイトの操作性も重要な要素になると思います。