先日紹介したESG投資に関して、日経にこんな記事が載っていました。

増やせない国債投資の代替として国内株を拡大できるようにするのがESG投資を始めた「ひそかな」理由だとする内容ですが、なんか的外れな感じですね。25%は日本株比率の上限ではないですし。

ESG投資が日本で普及していないのも、こうした記事が出てくる要因の1つかもしれません。サステイナブル投資を推進する国際組織、GSIAのレポートによると、2016年時点で世界の全運用資産残高に対するESG投資の割合は26.3%となっており、なかでも欧州や豪州では50%を超えています。これに対して日本は3.4%にとどまっています。

ESG投資はいくつかの手法に分類され、欧州や米国で広く採用されているのが「ネガティブスクリーニング」と「ESGインテグレーション」の2つです。ネガティブスクリーニングは武器、ギャンブル等の倫理的でないと判断される特定の業界を投資対象から外すやり方、ESGインテグレーションは投資先の選定過程において、財務情報だけでなく非財務情報も活用するやり方です。

日興リサーチセンターのこちらのレポートによると、欧州や米国でネガティブスクリーニングが広く採用されている要因として、機関投資家がクラスター爆弾の製造等に関する銘柄へ投資することを法律で禁止している国があったり、教会基金等の資産保有者がタバコやアルコールに関連する株式を投資対象から除くように求めている点があげられています。

また、ESGインテグレーションについては、「欧州の⼀部の国において労働組合により ESG 投資が年⾦基⾦での株式投資導⼊の条件となったように、受益者による要求等が寄与している」とあります。

つまり、ESG投資が儲かるかどうかというような観点ではなく、投資の前提条件としてESGの要素を考慮することが当然であるというスタンスがあるように思います。日本で今後ESG投資が普及していくかどうかは、こうしたスタンスが広く受け入れられるかどうかにかかっているのではないかと考えます。