先日の日経に「DC難民」に関する記事がありました。
企業で実施していた確定拠出年金(DC)に加入していた社員が60歳前に退職し、DCを実施していない企業に転職したり自営業者になったりした場合には、本人の手続きにより個人型のDC(iDeCo、イデコ)の口座を開設し、そちらに資産を移す必要があります(「正規移換」という)。

しかし実際には必要な手続きが取られないまま放置されるケースが多く、退職から6か月たっても手続きされない場合にはiDeCoの実施主体である国民年金基金連合会に強制的に資産が移され全て現金化されます(「自動移換」という)。上記記事の「DC難民」とは、自動移換されたままの人のことを指しています。

以前「『確定拠出年金制度について』の改正」にも書いたとおり、自動移換者の数は正規移換者を上回っており、確定拠出年金制度における課題の1つとなっています。自動移換されたからといって資産が没収されるわけではありませんが、資産の運用は中断され、手数料の分だけ確実に目減りしていきます。

記事にもあるとおり、従来はiDeCoに入れないケースもあったため、あえて手続きしないことで手数料を抑えることを選択する人もいたようです(iDeCoに移すと運用できるようになるが、手数料は相対的に高くなる)。

ただ上記の記事によると、2017年3月末時点でも自動移換者と運用指図者(注)は順調に(?)増えており、合計で100万人を突破してしまったようです(一方加入者はようやく50万人を超えたところ)。

注:運用指図者とはiDeCoに資産があり運用は行っているが、追加の掛金の積み立ては行っていない人。現に掛金を積み立てている「加入者」とは区別される。

連合会などが取り組んでいるiDeCoの普及推進にあたっては、(すでにこれまでも何らかの取り組みはされているとは思いますが、)この自動移換者や運用指図者にどうアプローチしていくかということも非常に重要であると考えます。

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