6月6日に開催された第8回の確定拠出年金(DC)運用専門委員会の議事録が、先週6月14日付でアップされています(こちら)。この日は、2月以降の一連の議論をとりまとめた報告書について、第7回からの修正箇所の確認が行われ内容が確定したわけですが、最後に各委員からの意見、感想などが述べられています。

その中で複数の委員から指摘されたのが、「過半数代表者」をめぐる課題です。DCに限らず企業年金においては、労使合意の手続きとして、「従業員(厚生年金の被保険者あるいは加入者)の過半数で組織する労働組合がある場合はその組合の同意、ない場合は過半数代表者の同意」をもって、労働者側との合意がなされたものとしています。

これは、労働基準法において、労使協定を締結したり、就業規則変更の際の意見聴取を行うときの規定を準用したものであり、(過半数組合がない場合の)過半数代表者の選出にあたっては、投票等の民主的な手続きよるものとされています。

しかし実態としては、企業側の指名により決まる(選挙の形をとったとしても他に立候補者は出ない)など、従業員側の意見を集約してそれを企業年金制度の設計や運営に反映させる方法としては、うまく機能していません。

この点に関して、従業員代表という仕組みそのものの課題についてまとめたものがないか検索してみたら、独立行政法人労働政策研究・研修機構のこちらのページに掲載されている日本労働研究雑誌のバックナンバーの論文がヒットしました。

これによると、例えばドイツでは、産業別に組織される労働組合とは法的に独立した、事業所ごとに設立される事業所委員会があり、
  • 事業所委員会の活動に係る費用負担や会議等の場所の確保、通信手段の提供は使用者の義務
  • 事業所委員会の会議は原則として勤務時間内とする
  • 事業所委員会の委員について、職務を理由とする不利益取扱い(及び有利な取扱い)を禁止
  • 3ヵ月に一度、従業員との意見交換のため、事業所集会を開催する
といったことが定められているようです。

日本にも「労使委員会」というのがあるようですが、企画業務型裁量労働制を導入する際に設置するものであり、労働条件一般を対象にしたものではなさそうです(こちらを参照)。

昨年のDC法の改正に伴い、運用商品の設定や運営管理機関の評価・見直しに関する規定が設けられたわけですが、これらは従業員側の利益に直結するものであり、本来的には「労」側の立場や意見を適切に反映させる仕組みも整備しておく必要があるでしょう。

少なくとも「従業員代表者」という個人に重い役割を負わせる現在の仕組みには無理があり、組織的な対応がなされないと、従業員側の立場がどこまで尊重されるかは、結局経営者や人事担当の意識に大きく左右されることになりそうです。