既存の退職金や企業年金の枠にとらわれない、これからの時代の退職給付について、これまでの記事の中でいくつか書いてきました。

退職金はないけど70になっても働ける会社
退職給付は「セレクション アンド バリエーション」の時代へ
3ステージの人生からマルチステージの人生へ
副業解禁とキャリアのレジリエンス向上
お金では買えない定年後の予行演習

ここで、次世代に求められる退職給付について、改めてまとめてみたいと思います。

豊かな老後(老後に限りませんが)を送るための要素としては、大きく「マネー」「キャリア」「ライフ」の3つがあります。社員が高齢期(具体的には60歳以降)のマネープラン、キャリアプラン、ライフプランをしっかり立てられるような状況にあれば、社員は最後までモチベーションを維持して働くことができるでしょう。

逆に、定年を迎えたとき、「やりがいのある仕事ではないが、ほかに働き口もないし、生活費も稼がないといけないので、とりあえず再雇用を希望する」みたいな社員が増えてくると、本人だけでなく、周囲にいる中堅・若手社員にも悪影響を与え、組織としてのパフォーマンスを低下させかねません。

今後10年~15年のうちにバブル世代や団塊ジュニア世代が定年を迎えていくにあたって、これらの世代に対応する"退職給付"をどう構築していくかが、今後大きな課題になっていくのではないでしょうか。

そして、その解決には、「マネー」「キャリア」「ライフ」の3つの要素に対して、会社が提供できる直接的な給付と間接的な給付の組み合わせを考えていくことが必要ではないかと考えています。

<例1:高年齢者に適した職場・職務の確保が困難な企業の組み合わせ>
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<例2:高年齢者の雇用を積極的に推進したい企業の組み合わせ>
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セカンドライフに向けた準備は、定年直前にセミナーを受ければできるというものではありません。5年後、10年後を見据え、社員がしっかりプランを立てられるような、自社にあった"退職給付"の組み合わせを今のうちから考えておくことが重要ではないでしょうか。