昨日の記事では米国債の直接購入について書いたところですが、米国債への投資に関して、税制面でより有利な方法がないか、調べてみました。なお、外国債券の直接購入にかかる税金の仕組みについては、大和証券のこちらのページが分りやすいと思います。

割引債を購入する

昨日の記事で紹介した米国債の銘柄名を見ると、「ストリップス」と「トレジャリーノート」の2種類があるのがわかります。トレジャリーノートには年2回のクーポン(利払い)がついていて、これがもともとの国債の形ですが、各回のクーポンと元本を切り離してそれぞれの部分だけで販売されているものもあり、これがストリップス債です。

したがって、ストリップス債自体にはにはクーポン(利払い)がありません。このように、クーポンがついてない債券を割引債と呼びます。これに対して、トレジャリーノートのように利払いがある債券を利付債といいます。

割引債はクーポンがついていない分、その他の条件が同じ利付債よりも安く買えますが、トータルで見れは有利・不利は基本的にありません。しかし税金を考慮すると、ストリップス債のほうが有利になるケースも考えられます。

債券を購入後に為替が円高に振れた場合、満期を迎えたとき(または途中で売却したとき)の円換算した金額が購入額を下回る、すなわち損失となる可能性もあります。利付債の場合、このような状況でもクーポンに対する税金はかかってしまいますが、割引債の場合は利益が出ていなければ税金がかかることはありません。

ETFを購入する

米国債に投資するには、ETF(上場投資信託)を購入するという方法もあります。債券を直接購入する場合はNISAの対象にはなりませんが、ETFはNISAの対象となるため、NISA口座で購入することによって分配金や売却益に税金がかからなくなります。

ただし米国内での税金(10%)はかかってしまうようですね。これはETFの基準価格に織り込まれているものと考えられます。

また、ETFは債券そのものとは異なり満期がありません。投資対象となる債券の平均残存期間が商品ごとに決まっているので、その期間を保つように銘柄の売買が繰り返されます。したがって、保有期間にかかわらず将来の収益はドルベースでも確定しない点が、債券そのものの購入とは異なります。

ドル建ての年金保険を購入する

一部の生命保険会社では、外貨建ての年金保険商品を販売しており(例えばこちら)、保険商品の購入を通じて実質的にはその国の債券に投資するような形になります。

保険会社を通すことで、手数料を引かれたり、商品の積立利率が債券そのものの利回りより低く設定されていたりすることを考えると、基本的には不利な方法なのですが、税制面では以下のようなメリットがあります。
  • 投資額(保険料)が一般生命保険料控除の対象となる
  • 年金原資を一括で受け取る場合、一時所得の扱いになる
1点目については、他に一般生命保険料控除の対象となるものがなく、投資額が8万円以上の場合、4万円が保険料を支払った年の所得から控除されます。

2点目については、他の条件にもよりますが、一括で受け取る場合は一般に一時所得の扱いとなり、その年に他に一時所得となるものがなければ、50万円までの利益は非課税となります(50万円を超える部分についても課税所得に合算されるのはその半額)。これは結構大きいですね。

しかし日本より高いとはいえ低金利の現状では、節税以前に(債券そのものの利回りより利率が抑えられていることによる)円高による損失の可能性が高くなるので、あまり賢い選択ではないと思います。