先日、確定拠出年金(DC)を実施している企業の担当者と話をする機会があったのですが、昨年の法改正を受けて商品の追加を控えていたのが、厚労省の運用専門委員会で上限を35本とする方向が明らかになり、商品の追加提案が来るようになったとのこと。

しかしこれは専門委員会での議論を誤解(曲解?)した動きとしか思えません。35本というのはあくまで法令上定められる絶対的な上限であって、ここまでなら追加して問題ないというものではなく、いかに加入者が適切に商品を選べるようにするかというのが本質です。

したがって、以前「DC運用商品の選定・見直しは継続教育や運管の評価とセットで考える」の記事でも書いたとおり、企業型DCの運営管理機関がまず行うべきは上限までの残り本数を埋めるための追加提案などではなく、現在の商品ラインナップについて実際の選択状況等を踏まえて点検し、むしろ商品の厳選や提示方法の工夫を検討すべきなのです。

次回の専門委員会は6月6日に開催予定となっており、おそらくここで報告書案のとりまとめが行われて議論は一区切りとなるでしょう。そのあとは、報告書の内容に沿って、厚労省にて法令や通知の発出に向けた準備が進められることになりますが、単に文書を作成するだけでなく、運営管理機関に対して適切な対応を促すアクションを期待したいところです。

DCを実施している企業側においても、今回の議論の本質を理解し、ただ商品の追加を勧めてくる運営管理機関に対しては、その姿勢をただしてほしいと思います。