5月下旬、会社員には会社経由でこちらの通知書が届きます。
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住民税(市区町村民税と都道府県民税)の明細が書かれた「特別徴収税額の決定・変更通知書」です。上の画像は大阪市のWEBサイトに掲載されていた通知書の見方をコピーしたものです。

ちなみに「特別徴収」というのは、要は給与天引きで徴収しますということです。法律上はあくまで納税者本人が直接支払うのが「普通」だけど、会社員は「特別」に給与天引きで徴収します、ってことでしょうかね(多くの人にとってはそれが「普通」になってますが)。

国に納める毎年の所得税については、毎月の給与から仮の金額を天引きし、年の終わりに年末調整で精算(年末調整で精算できないものは翌年3月までに確定申告で精算)することになりますが、市区町村に納める住民税については、確定した前年の所得に対して、当年6月から翌年5月までの1年間で納めることとなります。

なので、この2017年5月に届いた通知書に書いてあるのは、2016年の所得に対する住民税の額と、その支払スケジュール(2017年6月~2018年5月の各月の天引き額)ということになります。

上の「通知書の見方」では、(ちょっと見づらいですが)給与収入543.6万円から”みなし経費”である給与所得控除を差し引いた給与所得が380.8万円であり、これがそのまま「総所得金額①」となっています(千円未満の記載省略。以下同じ)。

そして各種所得控除を合計した163.7万円が「所得控除合計②」となり、①-②=217.1万円が「総所得③」、つまり住民税の計算のもととなる課税所得となります。

住民税の税率は通常10%なので、217.1万円×10%=21.7万円に、均等割額(所得に関係なく一律に課される額)0.5万円を足した22.2万円が住民税の合計額となるはずですが、上の通知書では6月以降1年間の天引き額の合計である「特別徴収税額⑧」が11.0万円となっています。これは、「税額控除額⑤」として市民税6.6万円、府民税4.4万円、合計11.1万円が差し引かれているからです。

税額控除額として差し引かれる代表的なものは、寄付金控除(ふるさと納税)と住宅ローン減税です。2016年にふるさと納税を行った場合や、住宅ローン減税分を所得税から引ききれなかった場合には、ここに金額が入ることになります。

ところで、上の通知書では所得控除の欄の「小規模企業共済」の欄に数字が入っていませんが、2016年にiDeCo(個人型確定拠出年金)または企業型DCのマッチング拠出で掛金を払っていた場合は、その金額がここに入ることになります。

仮に年間12万円掛金を払っていたとしたら、所得控除合計②は12万円増加、総所得③は12万円減少し、10%分の1.2万円だけ、特別徴収税額⑧が減っていたことになります。

また、医療費として1.1万円が所得控除されていますが、これは2017年2~3月に行った確定申告が反映されたものであり、生命保険料や地震保険料の所得控除については、2016年に年末調整の手続きを行っていればここに反映されることになります。

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