5月23日、信託協会等がとりまとめた2017年3月末時点の企業年金の受託概況が公表されました(信託協会のリリースはこちらに掲載)。

企業年金には、確定給付型の年金として「厚生年金基金」と「確定給付企業年金(DB)」、確定拠出型の年金として「確定拠出年金(DC)」があります。

このうち、厚生年金基金制度は原則として廃止されることが決まっており、一旦の期限である2019年3月末に向けて解散または他制度への移行が進んでいます。2014年3月末時点で531あった基金のうち、2017年4月末時点で残っているのは97基金であり、このうち例外的に存続予定となっているのは8基金のみとなっています(厚労省Webサイト「解散等の状況」より)。

したがって、残るDBとDCが日本の企業年金の2本柱となるわけですが、この2制度の加入者数について、毎年公表されている受託概況から過去5年間の推移をまとめてみました。ちなみにDCは企業型のみの人数であり、個人型(iDeCo)の加入者数は含まれていません。
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DBについては、この2年ではやや増加しているものの(厚生年金基金からの移行が要因と考えられる)、5年間で見ると800万人前後で大きな増減はありません。なお、厚生年金基金については5年前は400万人以上いたのが2017年3月末では139万人まで減少していますので、確定給付型の年金全体で見た場合には、大きく減少していることになります。

これに対してDCは一貫して増加しており、DBとの差は縮まりつつあります。仕事上、私が関与している範囲でも、DCを導入する企業はDBからの移行も含めて時々見られますが、DBを厚生年金基金からの移行以外で導入したり、あるいはDCをやめるというケースはほとんど見られません。

今年(2017年)1月から新たに実施可能となった「リスク分担型企業年金」(法律上はDBの一種)も今のところ広がる気配はなく、このままいくとあと5年後にはDBとDCの加入者は同じくらいになっているかもしれません。