5月19日に確定拠出年金(DC)の運用専門委員会(第7回)が開催され、事務局である厚労省側からこれまで議論をとりまとめた報告書(案)が提示されました。こちらにその本文が掲載されています。

これで委員会での議論はいったん一区切りとなる予定だったようですが、提示された報告書案に対して各委員からいろいろと意見が出されたため、最終的な結論は次回に持ち越しとなったようです。ただ内容を見る限りこれまでの議論に沿ったものとなっており、大筋では今回の案どおりになりそうです。

なお、第1回から第6回までと、第7回での議論の概要については、5月15日と19日付の第一生命の年金通信(こちらに掲載)にまとめられているので、参考になると思います。

では、今回の報告書案の内容を実行に移すとなった場合に、誰(どこ)がどのような行動をとることが求められるでしょうか?主に企業型DCを念頭において、簡単にまとめてみました。

商品ラインナップの選定・見直しと提示
  • 提供商品は加入者が真に必要とするものに限定するという観点から、実施済みのプランを含め、運営管理機関においてラインナップの選定・見直しを検討する。
  • 運営管理機関は、企業に対して、個々の運用商品の選定理由に加え、運用商品の全体構成に関する説明とともに、ラインナップ案の提示を行う。
  • 企業においては、加入者(従業員)にとっての商品の選びやすさの観点から、提示されたラインナップ及びその理由を吟味し、妥当性に疑問がある場合は運営管理機関に対して再提示を求める。
  • 決定したラインナップのうち投資信託について、運営管理機関は、資産種類やパッシブ・アクティブの区分のほか、基本的・応用的の区分や、手数料の一覧を提示するなどして、加入者が商品を選択しやすいようにする。
  • 企業と運営管理機関は、投資教育の実施を通じてその情報を加入者に確実に伝えるとともに、モニタリングの実施により実際に加入者にとって選択しやすいものとなっているかの検証を行う。

指定運用方法の選定と提示
  • 指定運用方法の設定にあたり、運営管理機関は、加入者の属性を踏まえたうえで、元本確保の有無だけでなく、実質価値の維持といった点も考慮に入れて、複数の選択肢を検討する。
  • 運営管理機関は、企業に対して、それぞれの選択肢について実質的な収益の見込みをイメージできるようにするなどして、適切な判断ができるように提示する。
  • 企業においては、指定運用方法が新規加入者(新入社員)から適用されることも勘案したうえで、長期運用にふさわしい商品を選ぶ。
  • 決定した商品について、運営管理機関は、その選定理由を加入者に示すとともに、運用結果に対する責任は加入者本人が負うことを明示する(元本確保型商品がデフォルト商品として設定されている場合、機会損失が生じたり実質価値が維持できない可能性があることを明示)。
  • 企業と運営管理機関は、投資教育の実施を通じてその情報を加入者に確実に伝えるとともに、あくまで自ら商品を選択するのが原則であることから、不指図者に向けては具体的な商品の選択方法などについて継続的に情報提供を行う。

既にDCを導入している企業においても、新規にDCを導入する場合と同じように、改めて加入者視点で商品ラインナップや指定運用方法(デフォルト商品)の設定について検討するイメージですね。そしてその後の継続的なモニタリングや投資教育もセットで考える必要があります。

昨年成立した改正確定拠出年金法では、今回の専門委員会のテーマとなった運用商品に関する基準の見直しのほか、継続的に投資教育を行うことや、運営管理機関について定期的に(少なくとも5年に1回)評価・検討を行うことも、事業主の努力義務として定められました。

運用商品の提示は運営管理機関の最も基本的な役割ですから、投資教育やモニタリングを継続しつつ、例えば5年に1回、上記のような商品ラインナップやデフォルト商品の検証を、従来の運営管理機関に加えて他の運営管理機関に対しても求めることで、商品についての検証をより効果的なものとし、同時に運営管理機関の評価・検討を実施することが可能になると考えます。