おととい(5月18日)、SBI証券がiDeCo(個人型確定拠出年金)の運営管理手数料を資産残高に関わらず無料にすると発表しました。従来は、SBI証券のiDeCoプランに加入するときや、資産残高が50万円未満の場合には手数料が発生していましたが、これらがすべて無料化されます(プレスリリースはこちら)。

そして、これを事前に聞きつけた(?)楽天証券も、同日に運営管理手数料の無料化を発表しました(プレスリリースはこちら)。従来は資産残高10万円以上で無料とすることとしていましたが、この条件が外れました。

私は企業型から個人型に移るときにSBI証券のプランに入り、その際すでに50万円以上の資産があったので、加入時には手数料がかかったものの、毎月の運管手数料は当初より無料でした。なので個人的には関係ないのですが、法改正をきっかけにiDeCoへの注目が集まり、手数料の競争が進むのはいいことですね。


しかし一方で…


同じ5月18日にSBI証券のiDeCoプランの記録管理を行っているSBIベネフィット・システムズ株式会社より、「事務委託先金融機関手数料相当の運用商品の誤売却に関するお詫び並びにご報告」という件名のメールが届いていました。

一読しただけでは事態がよくつかめなかったのですが、4月分の事務委託手数料を誤って二重に徴収してしまったとのこと。運管手数料は無料でも、国民年金基金連合会への手数料(加入中は月103円)と、資産管理を行っている信託銀行への事務委託手数料(月64円)は一律発生します。

加入中の事務委託先手数料に関しては、毎月の掛金からあらかじめ控除し、残りの金額を個人が指定した比率で配分して運用商品を購入する流れになりますが、掛金の拠出がない場合には保有している運用商品の売却により手数料の支払いに充てられます。
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(画像をクリックして拡大)

で、今回は手違いにより掛金からも積立金からも手数料が徴収されてしまっていました。加入者サイトを確認したところ、各商品の購入(受け渡し)日である4月17日に障害が発生し、19日に売却処理が行われています。
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(画像をクリックして拡大。「売)手数料」となっているのが誤売却の処理)

この誤処理への対応として、4月27~28日と5月15日に売却分の買い戻し処理が行われており、誤売却がなかったとした場合の金額以上への回復が図られています。
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(画像をクリックして拡大。4月27日以降で「買)掛金」となっているのが誤売却に対する買い戻しの処理)

加入者サイトには4月17日以降、何回かにわたって状況の報告が行われていたようですが、メールでの配信は5月18日が初めてであり、私もこのメールで初めてそのような事故が起こっていたことを知りました。

今回の件は、金額的な影響は軽微であり、すでに損害の回復が図られ、誤処理の再発防止策も取られており、今のところ大きな問題にはなっていませんが、加入者への周知という点では十分な対応だったのか、やや疑問が残ります(多分まだ知らない人も多いはず)。

サービスを簡素化したり効率化することで手数料を引き下げるのは全く問題ないと思いますが、お金の処理に関わるシステム対応など、必要な経費をケチることで大きな問題を引き起こすようなことがあればDC制度全体の信頼にも関わってくるので、その点は十分に考慮してもらいたいところです。