以前にも何度か取り上げている厚生労働省の就労条件総合調査から、今回は退職金の月収換算値に着目して書いてみたと思います。

<参考記事>
退職給付の水準は本当に低下しているのか?
厚労省とは異なる人事院による退職給付の調査結果

なお、ここでいう退職金とは企業年金からの給付も含めた1人あたりの平均額(年金で支給されるものについては一時金に換算した額)であり、月収とは退職時の所定内賃金(給与のうち固定的に支給される部分)のことを指しています。

前回(2013年)の調査によると、勤続35年以上で定年退職した時の退職金は、月収に対して以下のとおりとなっています(企業規模や学歴に応じて集計)。

■大学卒
1

■高校卒(管理・事務・技術職)
2

■高校卒(現業職)
3

企業規模等によるばらつきはありますが、大学卒の定年退職者は勤続37~38年、高校卒の定年退職者は勤続41~42年が多数を占めていることを考えると、平均的な退職金の水準は概ね「月収×勤続年数」程度であるといえます。

したがって、例えば勤続38年であれば、退職金でその後38か月(=3年2か月)分の給与が支給されると考えることもできます。月の生活費が給与の7割くらいだとすれば生活費の54か月分。また、退職金は税金の優遇があり、(一時金受取なら)社会保険料の天引きもないので、実質的には生活費の5~6年分と考えてもよいでしょう。

となると、65歳までは継続雇用等で生活費を賄えるだけの収入を確保し、その先70歳までは退職金の取り崩しで対応、70歳以降は公的年金の繰り下げ支給で生活費をカバーするという基本プランを1つ考えることができます。

<参考記事>
「老後資金の必要額=70歳までの必要額」という考え方

あとは、退職金では足りない部分や生活費以外の部分を、iDeCo(個人型確定拠出年金)などを使って貯蓄や投資により自分で積み立てたり、あるいは65歳を超えても働ける場を確保しておくなど、自分の状況にあったアレンジを行うことで、セカンドライフの大まかなデザインを描くことができるのではないでしょうか。

そういう意味では、「退職時の月収×勤続年数別の支給率」といったタイプの退職金の算定方式は(最近ではポイント制等の算定方式にシフトしてきていますが)、社員にとってリタイア後のライフプランを考えやすい方式であるということができます。