5月10日、自民党から政府への「一億総活躍社会の構築に向けた提言」がまとめられました。「年金受給開始、71歳以上も」といったニュースの見出しで報じられているので、70歳まで年金はもらえなくなるのかと思ってしまうかもしれませんが、そういうことではなく、現在は最大70歳までとなっている受給の繰下げを71歳以降も認め、その分年金を増やせるようにしようということです。

なお原文(こちら)を読めばわかるとおり、この提言は年金についてのみ書かれているわけではなく、総人口に対する就業者数の割合をいかに維持していくかという観点から、子育て支援や若者の雇用なども含めた幅広い分野での提言となっています。

年金に関しては、上に書いたものも含めて以下のような提言がなされています。
  • 受給開始繰下げによる年金増額制度の認知度向上に向け周知徹底を図る
  • 70歳以降の受給開始繰下げと厚生年金継続加入を可能とする(さらなる年金増額)
  • 65歳以上の在職老齢年金(給与収入に応じた年金の減額)について廃止を含めた検討
  • 厚生年金を含む社会保険について段階的に適用拡大を進め、最終的には全ての雇用労働者に適用
4点目については、昨年10月にパート社員への社会保険適用拡大がありましたが、対象となる事業所の人数規模や対象となる従業員の労働時間、月収の下限をさらに引き下げていくということです。

実はこうした対応は2014年に実施された財政検証におけるオプション試算(こちら)の中でもすでに採用されており、以下のような前提を置いた場合に将来的な年金の水準がどこまで上昇するかが示されています。
  • 短時間労働者への厚生年金適用拡大
  • 基礎年金(国民年金)への加入を「60歳まで」から「65歳まで」に段階的に引き上げ
  • 65歳以上の在職老齢年金を廃止
  • 65歳以降の受給開始繰下げを選択
2~4点目を採用して68歳まで厚生年金に加入し、受給開始を遅らせれば、経済低成長のシミュレーションでも現在と同水準の年金を確保できる結果となっています。そういう意味では公的年金に関しては今後取るべき対応策というのはあらかた出そろっていて、あとはそれをどう実行していくかということにあるといえます。

その際カギとなるのはメディアの姿勢と、60歳あるいは65歳以降の就業機会の確保であり、後者に関しては企業側、従業員側の双方が、将来に備えて早くから対策を考えておくことが重要でしょう。