昨日の日経に退職金の受け取り方に関する記事がありました。
一般に、確定給付型の企業年金制度(DB)を実施している会社では、退職金の一部または全部をDBで運用しており、そこから支給される退職金について、一時金(一括払い)で受け取るか年金(分割払い)で受け取るかを選択することができるようになっています。

(但し、多くの場合、勤続年数が10~20年以上であることが年金受け取りを選択できる条件となっている。)

年金で受け取る場合は年2%程度の利息が付く設計になっているケースも多く、この超低金利のご時世ではありえないほど有利にも思えますが、税金や社会保険料のことを考えると、一般的には非課税枠の大きい一時金で受け取ったほうが有利になることが紹介されています。

なお、上の記事の中にある試算例は、3月にダイヤモンド・オンラインに掲載された以下の記事に、より詳しく書かれています。

このブログでも企業年金の受け取り方法については何回か取り上げていて、「DCはいつ、どのように受け取るのがいいのか?」の記事の中では、退職所得控除の枠に収まる分は一時金で受け取り、残りを年金で受け取るという考え方を提示しています。

DBの場合でも同じ考え方でいってもいいと思いますが、普通に運用するよりははるかに有利な年金受け取りのメリットを最大限生かすという観点からは、公的年金等控除に収まる分は年金で受け取り、残りを一時金で受け取るという考え方もありだと思います。

60代前半の公的年金等控除の額は年70万円であり、年金受取の額がこの金額以下なら税負担は発生しません(注)。また、60代後半は控除の枠が年120万円まで拡大され、65歳以降も働いて収入を得られるのであれば、公的年金(厚生年金と基礎年金)の受給を70歳まで繰り下げることで、10年間で計700万円分は非課税の枠を確保できます。

注:今年3月31日時点で56歳以上の男性、51歳以上の女性の場合は65歳前に支給される特別支給の老齢厚生年金があるため(詳細はこちら)、この金額を加えると税負担が発生する可能性あり。

65歳でリタイアする場合は、厚生年金のみ70歳まで繰り下げ、基礎年金は65歳から受け取るという選択肢も考えられます。基礎年金は満額で78万円なので、企業年金が年70万円だとすると年金収入は計148万円、公的年金等控除後の所得は28万円となり、他に収入がなければここから基礎控除(所得税は38万円、住民税は33万円)を差し引いて、税金や社会保険料の計算のもととなる所得はゼロとなります。

DBはDCに比べて、年金と一時金の受取割合や、年金で受け取る場合の受取年数を細かく指定することはできませんが、会社によってはいくつかの受取パターンを用意していることもありますので、公的年金等控除に収まる範囲で年金受取額が最も大きくなるのはどれか?という観点で考えてみてもよいでしょう。

なお、数は少ないですが、一部のDBでは終身年金(生きている限りもらえる年金)を支給しており、このケースではほぼ間違いなく年金で受け取るのが有利です。10~20年の保証期間を過ぎると、あとは長生きした分だけ受取総額は増えていきます(保証期間内に死亡した場合は残りの期間に応じた金額が遺族に支給される)。

ただこれは、自分が生きている限り企業年金制度がそのまま存続していることが前提になります。以前のJALのように、経営状況の悪化によって年金が減らされる可能性があることは、頭に入れておく必要があります。