先日の記事で紹介したちょっと気になる医療と介護 [単行本]の中で、日本の社会保障財源の全体像を1枚の図に表した資料(厚生労働省作成)が紹介されていてよくまとまっていたので、こちらのPDFファイルから抜粋してみました(表紙含めて7枚目のスライド。2014年予算ベースの数値のようです)。
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社会保障費は国の予算(一般会計)の中で最も多くを占めており、これが31.1兆円となっています(図の赤みがかった部分)。しかし社会保障の最大の財源は税金ではなく保険料であり、これが64.1兆円となっています(図の黄色の部分)。

さらにこの図を右から見ていくと、厚生年金から介護保険までは、企業と会社員(または公務員)が負担している保険料でほぼ賄われています(公務員の共済年金は現在では厚生年金に統合されている)。また、左のほうにある基礎年金の保険料もその多くは厚生年金保険料に含まれており、後期高齢者医療制度の財源には健康保険から支援金が含まれています。

というわけで、日本の社会保障財源は企業と会社員が負担する保険料によって支えられているというのがよくわかります。他に多額の保険料を負担できるところはありませんから必然的にこうなりますね。

ということは、国や地方の負担の増加を抑えながら、言い換えると増税や赤字国債の発行を抑えながら、今後必要額がますます増えていく社会保障財源を確保するには、保険料を払ってくれる層を増やしていくことが必要になります。つまり、女性や高齢者の就業率の向上や、パート社員の社会保険適用拡大といったことであり、国の政策も基本的にこの方向で進められています。

あとこの図からは、社会保険と民間の保険の違いも読み取ることができます。民間の保険の場合には、保険料と保障(給付)の水準が必ず連動します。保険料が高すぎると加入する人はいなくなりますし、保障(給付)が大きすぎると保険会社はつぶれてしまいます。

これに対して社会保険の場合には、上の図で見ると、会社員に関して保険料と保障(給付)の水準がそのまま連動しているのは厚生年金だけです(所得の多い人は支払う保険料も多くなるが、もらえる年金も多くなる)。医療保険(健康保険)や介護保険、公的年金のうち基礎年金部分については、所得が多いほど保険料は高くなりますが、受けられる保障は基本的に同じです(例えば健康保険なら医療費の一律3割が自己負担)。

つまり社会保険というのは、強制加入とすることで負担能力の高い人からより多くの財源を徴収し、給付についてはそれを必要とする人には公平に配分することによって、所得の再配分の機能を持たせているということができます。