昨日4月18日、確定拠出年金(DC)の運用専門委員会(第5回)が開催されました。前回までの関係団体等からのヒアリング結果を受けて、今後政省令で定めることとなる、DC(企業型・個人型)のプランごとの商品数の上限設定や、デフォルト商品の設定基準についての具体的な議論が始まったようです。

<これまでの運用専門委員会に関する記事>
第1回:デフォルト商品と商品本数上限の議論が始まる
第2回:DC運用商品の規制に対する業界団体の意見
第3回:重視したいiDeCoに対する一般個人の反応
第4回:DC運用商品の規制に関する事務対応上の課題

すでに当日の資料がこちらに掲載されており、関係団体の意見に対する委員側のコメントを含めた前回までの内容と、今後議論を進めるにあたっての論点がまとめられています。結構なボリュームで内容も多岐にわたっていますが、目にとまったいくつかの点について紹介します。

労使合意で決めることの是非
企業型DCに関しては、運営管理機関や労使双方の関係団体から「労使合意」を尊重して柔軟な対応ができるようにという要望が出されていましたが、これに対して委員からは、老後保障という観点から労使合意がそれにふさわしいのかどうかという点や、労使合意の形骸化を懸念する意見があったようです。

確かに、DCの運用商品の選定や提示にあたり、労使双方がその内容を理解し、老後保障の観点から従業員の利益を第一に考えるという共通認識のもとに身のある議論ができるかといえば、これには相当の準備と専門知識をもつ第三者のサポートが必要になるでしょう。

これまで多くの企業でそれができなかったことが今回の法改正や議論の背景にあるわけで、それを考えれば形式上労使合意があれば今までどおりでOKとするのは趣旨に反するのだと思います。

商品のカテゴリ表示
前回までの議論では、商品を選びやすくするためには商品の提示の仕方も重要であるという指摘があり、これを受けて今回の論点整理の資料では、「①個々の運用商品の選定理由に加え、②運用商品の全体構成に関する説明を充実させていく必要がある」とされています。

これはまさにその通りで、現在は法令に従って、運営管理機関から個々の商品についての選定理由は示されているものの(役に立っているとはとても思えない)、商品ラインナップ全体についての選定の理由や趣旨については提示されないため、この点は改善が必要と考えます。

また、商品をカテゴリ表示することでより選びやすくなるのではないかということで、資料では次の3つの例が示されています。
  1. 投資信託の伝統的4資産+パッシブ・アクティブの区分を示すこと。
  2. 一般的な指数によるパッシブ運用の投資信託を一括りにして「基本的な運用商品」等、アクティブやオルタナティブを一括りにして「応用的な運用商品」等、と示すこと。
  3. 加入者等が運用商品の選択を行いやすくするよう、運用商品を一覧に並べるものの中で信託報酬等手数料を示すこと。
まぁどう考えても1や3だけでは不十分で、2は必須でしょうね。そして、商品説明資料の中でカテゴリ表示するのはもちろん、実際に運用商品の選択を行う紙面やWEBの画面でカテゴリ表示させるのが重要だと思います。

商品数と「不指図率」の関係
今回の論点整理の資料の中では、商品数の上限を検討するためのデータとして、各プランの運用商品数と、運用商品を選択しないまま放置している加入者の割合(不指図率)との関係を示すグラフが提示されています。今までこうしたデータはなかったのでなかなか興味深いですね。

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これによると、商品数が36本を超えたところから不指図率が急増しています。でもなぜ36本からなのか、不思議ですよね(31本と36本で選びにくさに大して違いがあるとは思えない)。

ここからは単なる私の想像ですが、商品の総数が36本とかになってくると、定期預金だけでも5本、6本、あるいはそれ以上となって、最初から投資信託を選択肢として見てない人も選べなくなってしまっているのでは?という気がします。

もしそうであれば、元本確保型の本数と不指図率の相関も確認した上で、(政令とは別に)元本確保型とそれ以外のそれぞれで上限の目安を示すといったことも考えられるかもしれません。


その他、前回までの議論では、加入者の理解度をチェックするテストを作り、その結果によって投資教育の成果を図ったり、継続的に投資教育を受ける必要があるかどうかの判断等に使ったらどうかという意見も委員からあったようですが、これについては現在でも各運営管理機関でeラーニングのコンテンツを用意しており、まずはこれらの内容や利用状況を把握するところから始めたほうがいいのではと思います。