以前「国基連の新サイト「イデコガイド」は加入者拡大につながるのか?」の記事で紹介した、イデコ(iDeCo、個人型確定拠出年金)加入促進のための特設サイトが、3月下旬にリニューアルされました。また、3月末には「アニメでわかるiDeCo」の動画が公開され、Android版iDeCoアプリもリリースされています。
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(画像をクリックすると「iDeCoアプリについて」のページが開きます)

サイト開設当初に比べると、アニメのほかにも税制優遇のシミュレーションやQ&Aなど、コンテンツが拡充されています。アニメは(全部中身を見たわけではありませんが)セミナーや研修のコンテンツとしても活用できるかもしれません。

iDeCoガイドにしろアプリにしろ、難しい仕組みをできるだけわかりやすく、親しみやすく解説し、加入のハードルを下げようという意図は十分に感じられます。でも内容を見るとツッコミたくなるところもいっぱいあって…、今回はそのうち2つをあげておきます。

金融機関の選び方は書いてあるけど…

iDeCoに加入するときの手続きは、国民年金基金連合会ではなく、各取扱金融機関(運営管理機関)に対して行うこととなり、どの金融機関で申し込むかによって選べる運用商品、受けられるサービス、手数料が異なります。iDeCoガイドでも、「iDeCoをはじめるには」のページで、金融機関を選ぶポイントとしてこの3つをあげて解説しています。

で、なるほどと思ってその下にある「iDeCo運営管理機関一覧はこちら」をクリックすると出てくるのがこちらのページ。
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…運用商品についてもサービスについても手数料についても何も情報がないのにどうやって選べと? 

以前にも書きましたが、確定拠出年金教育協会のiDeCoナビ「取扱金融機関検索」や、モーニングスター社の個人型確定拠出年金ガイド「金融機関比較ガイド」のページでは、これらの情報が一覧でまとめられており、こちらに誘導したほうがよほど親切でしょう(それとも同じような情報をiDeCoガイドにも今後載せる予定なんでしょうか)。

ライフコースの多様化への対応のはずが…

昨年の法改正でiDeCoの加入対象を企業年金加入者や公務員、専業主婦にも広げたのは、厚生労働省のこちらの資料にもあるとおり「ライフコースの多様化への対応」のためです。夫は終身雇用で会社に勤めて厚生年金や退職金・企業年金を受給し、妻は専業主婦として家庭を守るというモデルは過去のものになった…はずです。

でもiDeCoアプリに入っている「Happy iDeCo Story」ってまさにこのモデルなんですよね。
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主人公の設定は男性で他のモデルは選択できません。ゲームのような形式でストーリーが進んでいくのですが、妻がiDeCoに入るとか働くとかっていう選択肢は全く想定されていません。iDeCoを所管する厚生労働省年金局 企業年金・個人年金課の青山桂子課長(女性)はこれをどう見ているのでしょうか…。


上にも書いたとおり、iDeCoに関する手続きは全て金融機関を通して行われることになりますし、どの金融機関を選んだらいいのかといったことについての個別のアドバイスはファイナンシャルプランナーなどに期待されるところです。

iDeCoの普及・拡大にあたっての国の役割は、個人向けの直接的な広報活動というよりは、実際に個人に対応する人たちへの支援だったり、加入にあたってのハードルとなっている事務手続きの改善などにあるのではないかと考えます。