DCプランナー(企業年金プランナー)の第29号の会報が発行されました。資格登録者に年2回、送られてくるものです。
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今回は、個人型DC(iDeCo)についての特集のほか、「DCプランナーのためのスキルアップ塾」として、公的年金、企業年金、投資教育、生活設計の各分野に関する解説記事、そして「ケーススタディ」として、曙ブレーキ工業株式会社での企業型DCの継続教育の取り組みが紹介されています。

(ちなみに、昨年の同時期に発行された第27号のスキルアップ塾では、「厚生年金基金の解散や代行返上をめぐる直近の動向」として私も寄稿しています。内容についてはPmasコラムのページを参照ください。)

このケーススタディで特筆すべきなのは、継続教育において自社の社員が講師を務めているということ、さらに社内講師は特定の個人が担当するのではなく、全国にある工場等の各拠点で現場の社員が講師を担当できるようにしているという点です。

企業型DCを実施している多くの企業では、継続教育の実施を運営管理機関に委託しており、自社の社員が講師を務める、しかも人事部等の担当者ではない現場の社員が講師を務めるというのは、なかなかできないことだと思います。

そのようなことが実現できている背景として、当社では、英会話、財務、ブレーキの技術など、様々なテーマに関する研修が常に募集、実施されており、社員が教え合う企業風土がベースにあることが紹介されています。講師は固定されるものではなく、常に若い社員にバトンタッチされていくそうです。

DCの継続教育に関しては専門的な要素が強く、また、受講する個人の資産運用にも関わってくるため、「間違ったことを教えてしまってはまずい」ということが、社内講師により研修を行う上での大きなハードルになっていると考えられます。

しかし、「最終的な運用商品の選択は自己責任により行うもの」「個別商品の推奨を行ってはならない」といった最低限のルールは必ず押さえたうえで、講師の言うことが100%ではないという共通認識のもと、講師と受講者がともに教え合い、学び合うことができれば、非常に高い学習効果が期待できると思います。

当社の例は、社員が教え合う企業風土があるからこその取り組みだと言えますが、記事の中でも紹介されているように、「教えることは一番の学び」になります。継続教育の一部内製化は、継続教育の効果を高めるための1つの有力な方法であると考えます。