今週13日、企業会計基準委員会が開催され、退職給付会計におけるマイナス金利への対応について定めた実務対応報告の公開草案に寄せられたコメントへの対応について、審議が行われました。

実務対応報告の内容は以前「1年限定の公開草案と今後の議論の行方~マイナス金利に対する割引率の設定」にも書いたとおり、2017年3月末からの1年間に限定して、割引率をそのままマイナスとする方法と0止めする方法のいずれも選択できるという内容であり、これに対して団体・個人合わせて14件のコメントが寄せられています(コメントの内容はこちらに掲載)。

コメントには、賛成・反対両方の意見のほか、以下のような内容について確認や明確化を求めるものがありました。
  • 前期、既にいずれかの方法を採用している場合は継続適用すべきか
  • 本実務対応報告の適用は「会計方針の変更」や「見積りの変更」に該当するのか
  • 0止めする方法を採用する場合、イールドカーブのマイナス部分を0に置き換えて割引率を設定するのか、イールドカーブのマイナスはそのままで加重平均割引率がマイナスとなった場合に0とするのか
  • どちらの方法を採用しているかを注記すべきか
  • 本実務対応報告の適用に関する注記は必要か

ただ結論としてはこれらの論点については最終基準でも明示しない方向であり(そこまで議論が進んでいない)、結果としては従前どおりの実務対応、すなわち、前期にいずれかの方法を採用している場合はそれを継続し、特に新たな注記を追加することもないということになりそうです。

また、公開草案の中で「(検討にあたって)国際的な動向も踏まえる必要があると考えられる」としている点については、日本年金数理人会・日本アクチュアリー会からのコメントの中で、「国際基準では、原則として優良社債の利回りが用いられるので、現状ではそれほど問題意識が高いとは考えられない」と指摘されています。

※優良社債の利回りは通常、国債の利回りよりも高く、マイナスとなるケースは現状あまりないと考えられる。 

日本基準では国債と社債のいずれも選択できることとされており(優劣はない)、今後、基準の恒久化に向けた議論の中では、日本基準においても優良社債を用いることを原則とするのかどうか(この場合、実務対応報告の範囲を超え、退職給付会計基準そのものの見直しにつながる)ということも、論点の1つになると考えられます。