21日、厚生労働省告示により、2017年度における確定給付企業年金(DB)の下限予定利率は「マイナス0.1%」と定められました。

DBの掛金は、将来の運用収益を想定したうえで、加入者に約束している給付と釣り合うように計算されますが、その際、将来の運用収益の想定に使われるのが「予定利率」です。予定利率が低いほど、将来運用収益は小さく見込まれるため、その分掛金は大きく計算されることとなります。

ただ、DBの掛金は税務上の損金として扱われることから、必要以上に掛金を引き上げて法人税を減らすのを防ぐ観点で、予定利率には下限が設定されています。これが下限予定利率です。

下限予定利率は1年ごとの10年国債利回りの平均をもとに決められることとなっており、2016年の平均がマイナス0.031%となったことから、これを上回らない0.1%単位の率として、2017年度はマイナス0.1%と設定されました(10年国債利回りの、直近1年平均と直近5年平均の、いずれか低いほうの率をもとに設定される)。

法令上は予定利率をマイナスに設定し(つまり最初から運用損失を見込み)、将来見込まれる給付よりも大きな掛金を設定することも許容されることとなります。

以前、「2016年の10年国債利回りはマイナスに」の記事で書いていたように、予定利率の下限は0以上で設定されると思っていたので、マイナスはちょっと意外でした。ただ実際にマイナスの予定利率を設定して掛金を算定することは、ほぼないかと思います。

一方で、企業年金によっては下限予定利率を別のところで用いているケースがあります。例えば、定年前に退職した加入者に対して、年金の支給が始まるまでの間に付与する利息を、下限予定利率をもとに計算していることがあります。

この場合、下限予定利率がマイナスになることで利息もマイナス、つまり年金の支給開始を待っている間に給付が減ってしまうことになるため、利息の下限は0で止めておく等の措置が必要になりそうです。

なお厚生労働省からは、下限予定利率を定める告示とともに、以下のような通知が出されています。
予定利率の下限を引用している厚生年金基金及び確定給付企業年金の規約において、予定利率の下限をそのまま引用することが不適切である場合には、規約の変更が必要であること。

<2017/3/27追記>
DBの下限予定利率は、退職一時金制度から確定拠出年金制度(DC)に移行する際に、過去分をDCに持ち込む場合の利息(注)の上限としても用いられていましたが、3月21日付の厚生労働省からの通知改正により、下限予定利率がマイナスとなる場合は、この利息を0とすることが定められました。

(注)退職一時金制度の改定より、DCに持ち込むことのできる資産額の上限は、改定前後の自己都合要支給額の減少分となっていますが、税制上の観点から改定のあった年度を含めて4~8年度の範囲で分割して移換することが求められており、制度の改定から資産の移換までの期間については、一定の利率を上限として、利息を付けることが可能となっています。