私自身は海外勤務の経験はないのですが、学生時代の友人や、以前の勤務先(生命保険会社)の同期には、海外勤務の経験あり(もしくは現在海外勤務中)の人が結構いて、全く珍しい感じはしません。お客様先でも、「異動により担当が代わることになりました」というので行き先を聞いてみたら海外だったというケースは時々あります。

そうした場合に確定拠出年金(DC)に入っているとどうなるのか?ちょっと調べてみました。

企業型DCの場合

企業型DCの加入資格を持つのは、企業型DCを実施している会社で厚生年金に入っている社員です。海外に転勤になった場合でも厚生年金は引き続き適用されるため(こちらを参照)、海外転勤を理由に企業型DCの加入対象から外れるということは基本的にないと考えてよさそうです。

ただ、海外勤務となった場合は海外の年金制度にも加入義務が発生することがあり、この場合、日本の厚生年金との保険料の二重負担が発生することとなります。この二重負担を回避するため、アメリカなど15か国との間では社会保障協定が結ばれており、5年以内の海外勤務であれば、相手国の制度には加入しなくてよいことになっています。

逆に、海外勤務が5年を超える場合には、日本の制度から外れて相手国の制度にみ加入することとなっており(こちらを参照)、この場合は厚生年金や国民年金の対象から外れてしまうため、企業型DCにも個人型DCにも加入できなくなって、個人型DCの運用指図者(掛金の拠出を行わず、積立資産の運用のみを行う者)になると考えられます。

以上の取り扱いは、企業型DCの場合だけでなく、確定給付企業年金の場合でも同様と考えられます。

個人型DC(iDeCo)の場合

iDeCoの加入資格を持つ人には以下の3種類があります。
  • 第1号加入者:自営業者等で国民年金に加入している人
  • 第2号加入者:会社員や公務員で厚生年金に加入している人
  • 第3号加入者:第2号加入者に扶養されている専業主婦(夫)
このうち、第2号加入者については、引き続き厚生年金の加入対象となるかどうかが問題なので、上記の企業型DCの場合と同様に考えればよいでしょう。

また、第3号加入者も、配偶者が第2号加入者である限りは立場は変わらないので、配偶者が引き続き厚生年金の加入対象であれば加入継続可、配偶者が日本の年金制度から外れた場合は運用指図者に移行することになりそうです。

最後に、第1号加入者の場合ですが、海外に移住した場合は国民年金は強制加入ではなくなります。国民年金に任意加入することはできますが、任意加入者はiDeCoには加入できないこととなっており(こちらを参照)、運用指図者に移行することになります。

なお、国内で国民年金の保険料免除者(注)になってiDeCoに加入できなくなり、かつ資産額が25万円以下である等の要件に該当した場合は、例外的にiDeCoを脱退して一時金を受け取ることが可能となっていますが、海外移住の場合は「保険料免除者」になるわけではないので、脱退一時金を受け取ることはできません(ちょっと理不尽な感じはしますが…)。

注:収入の減少や失業等により国民年金の保険料を納めることが難しい場合、手続きを行うことで保険料の免除を受ける(=保険料免除者となる)ことができます。