昨年の確定拠出年金法の改正により、2018年から掛金の拠出限度額が月単位から年単位に変更されることとなりましたが、その具体的な取り扱いを定めた政令が8日に公布されました。昨年の12月2日に示された案どおりの内容となっています(パブリックコメントの結果と政令の条文はこちらに掲載)。

概要は、パブリックコメントが出されたときのこちらの記事に記載のとおりであり、より詳しい内容は「りそな企業年金ネットワーク」に2月9日付で掲載された「確定拠出年金の『掛金拠出の年単位化』に係る関係政令の改正について」にまとめられています。

で、これで何かいいことあるの?ということなんですが、退職給付制度として実施している企業型DCにおいては、現在の月ごとの掛金を変更する理由はあまり思いあたりません。

敢えて挙げるとすれば、退職金のポイントが毎期の人事考課によって決まり、それにDCの掛金が連動しているような場合に、DCの掛金拠出のタイミングを数か月後ろ倒しにしてまとめて拠出することで、人事考課の結果が出た後で、それを掛金額に反映することができるようになる、ということくらいでしょうか。

一方で、マッチング拠出や給与を原資とした選択制DC、iDeCo(個人型DC)のように、個人が出す掛金については活用の余地がありそうです。

例えば、「できることなら限度額いっぱい掛金を出したいけれども、月々の給与からそこまで出す余裕がない」という場合に、ボーナス支給月にまとめて残りの掛金を払うというやり方です。

<iDeCo(年間の拠出限度額が27.6万円)の場合>
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上の例でいうと、月々の給与からは1万円しか掛金を出す余裕がない場合、2017年までだと年間の掛金額は12万円となります。しかし2018年からは、6月と12月のボーナス支給月に、前月までの限度額の未使用分を繰り越してまとめて掛金を出すことで、年間の掛金額を限度額いっぱいの27.6万円まで増やせるようになります。

ただ、マッチング拠出や選択制DCにおいてこのような対応をとろうとすると、会社側の管理の手間が増えるため、社員の側からの明確なニーズがない限りは、規約を変更してまでこうした取り扱いができるようにしようとはならない気がします。

なお、選択制DCについては、給与ではなく賞与を掛金の原資とすることで、掛金を毎月一定額拠出しつつ、月々の給与は減らないようにするという方法も考えられます。

一方で、iDeCoに関してはおそらく上記のような掛金の「ボーナス払い」ができるようになるでしょうが、これも最終的には国民年金基金連合会が定めるルール(個人型年金規約)に従うことになるので、詳細な取り扱いについては連合会からの案内を待つことになります。

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