昨年11月から企業会計基準委員会で議論されていた、「マイナス金利に対して退職給付債務計算の割引率をどう設定するか」というテーマについて、26日の委員会で実務対応報告の公開草案が承認され、27日にその案が公表されました。こちらのページからダウンロードできます。

公開草案の要点は以下の2つです。というか、今回示された実務対応報告案の本文は、「目的」のほかはこれだけです。
  • 退職給付債務等の計算において、割引率の基礎とする安全性の高い債券の支払見込期間における利回りが期末においてマイナスとなる場合、利回りの下限としてゼロを利用する方法とマイナスの利回りをそのまま利用する方法のいずれかの方法による。
  • 本実務対応報告は、平成29年3月31日に終了する事業年度から平成30年3月30日に終了する事業年度まで適用する。
結論としては、2016年3月期決算時の緊急対応として出された昨年3月の議事概要と同じですが、議事概要ではどちらかというとマイナス利回りをそのまま利用する方法が原則的だというニュアンスが一部あったのに対して、今回の公開草案ではニュートラルな書き方になっています。

また、適用時期が1年限定という、おそらく会計基準としては異例な対応となっていますが、これも2016年3月期決算についてのみ取り扱いを示した昨年の議事概要と同様です。

ただ、期限を区切ったことで、その後の取り扱いについては必然的に議論を継続していくことになります。公開草案の結論の背景には、以下のように記載されています。
なお、平成30年3月31 日以後に終了する事業年度の取扱いに関しては、利回りの下限としてゼロを利用する方法とマイナスの利回りをそのまま利用する方法のいずれかの方法によることを定めたガイダンスの公表に向けて、引き続き検討を行う。当該検討の進捗状況によっては、本実務対応報告における取扱いを平成30年3月31日以後に終了する事業年度も継続することを検討する。
これは、委員会における議論の過程で、マイナスの利回りをそのまま用いるべきという持論を持つ委員から「恒久的な基準の設定に向けて議論を継続すべき」との意見が出されたことなどを受け、期限を1年で明確に区切るという点とともに、公開草案作成の最終段階で書き加えられたものです。

今回の公開草案は、少なくとも本文の部分についてはこの内容で確定するでしょう。「進捗状況によっては、本実務対応報告における取扱いを平成30年3月31日以後に終了する事業年度も継続する」可能性も高いように思います。

それでも、26日の委員会では、事務局から来年度以降に向けては「マイナスかゼロか」という大本の議論から始めたいという考えが示されており、今後どう展開していくのか注目したいと思います。