今年の4月以降、企業年金連合会が提供する通算企業年金の予定利率が引き下げられるという記事を先週書いたところですが(こちら)、この中でも触れたとおり、中途退職時に支給される企業年金からの一時金のもって行き先には、通算企業年金だけではなく確定拠出年金(企業型DCまたは個人型DC)もあります。

では、どちらに移した方が有利なのか?ちょっと試算してみました。

通算企業年金のメリットはやはり終身で年金を受け取れることにあります。先週の記事にも書いたとおり、40歳時点で100万円を預けると、65歳から毎年7.7万円(3月末までの退職であれば9.9万円)が生きている限り支給される計算です。また、80歳未満で亡くなった場合には、80歳までの残りの年金に相当する額が遺族に支給されます。

DCにも加入しているプランによっては終身年金が受け取れる商品が用意されていることもありますが、現在のような低金利の状況だと、おそらく65歳の支給開始時点で平均余命(男性約20年、女性約25年)分の年金総額とあまりかわらない水準の積立額が必要になるでしょう。

40歳から65歳まで、通算企業年金の予定利率(3月末までの退職なら2.25%、4月以降の退職なら1.5%)と同じ利回りで運用できても、同額の終身年金をもらうために必要な積立額にはまず届きません。

しかし、以前「国民年金基金と個人型確定拠出年金、入るならどっち?」の記事でも書いたように、公的年金の繰り下げ支給をDCと組み合わせることで、終身でもらう年金額を増やすという方法があります。

国民年金(老齢基礎年金)は現在、65歳からの支給で年間78万円(40年フルに加入していた場合)ですが、もらい始める時期を遅らせることで1年あたりの額を増やすことができます。

14か月遅らせると9.8%(=0.7%×14)増えて+7.6万円、18か月遅らせると12.6%(=0.7%×18)増えて+9.8万円になります。それぞれ、40歳時点で通算企業年金に100万円預けた場合の年金額(予定利率1.5%及び2.25%)とほぼ同じだけ増額されます。

そして、年金の受け取りを遅らせた分について、DCの積立金の取り崩しでカバーするために必要な積立額は以下のように計算されます。

<予定利率1.5%の場合>
(78万円+7.7万円)×14/12≒100万円

<予定利率2.25%の場合>
(78万円+9.9万円)×18/12≒132万円

予定利率引き下げ後で比較すると、運用収益0でも実質的に通算企業年金とほぼ同じ水準を確保できる計算ですね。予定利率引き下げ前でも年1.2%で運用できれば65歳時点で132万円以上確保できるので、通算企業年金の予定利率よりはハードルは低くなります。

<予定利率1.5%の場合の比較イメージ>
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仮に、例えば70歳で亡くなった場合は、通算企業年金であれば残り10年分の年金相当額が遺族に支給されるというメリットはありますが、長生きを想定した場合には公的年金の支給繰下げ(老齢基礎年金のほか、老齢厚生年金も含めて最大70歳まで繰下げ可能)のほうが効果は大きいといえます。

ちなみに、すでに企業年金連合会に資金を預けている場合でも、新たにDC(企業型または個人型)の加入者となった場合には、3か月以内に連合会に申し出ることによって資金をDCに移すことができます。

上の試算はあくまで今の年金額をもとに計算したものであり、国の年金も企業年金連合会の年金も、実際もらうときにこの金額になっているとは限りません。しかし、それでも実際に自分の場合で計算して具体的な金額を把握することで、より納得のいく選択ができるのではないでしょうか。