今週は年に1回ある年金数理人会の実務研修会に参加してきました。会場は例年同じところで、東京お台場のビッグサイト
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…のすぐ近くにあるTFTビル。こちらで丸2日間行われます。

これまでは日帰りで1日だけ受講することも多かったのですが、今年度からは継続教育制度が正式にスタートして単位を取らないといけなくなったので、今回は泊まりで受けてきました。そのうち、興味深かった2つのテーマについて紹介することにします。

特別法人税と退職所得控除

1つめは企業年金の税制をテーマにしたもので、特に特別法人税に焦点を当てた内容でした。講師はファイナンシャルプランナーの山崎俊輔さん。確定拠出年金に関する記事や書籍を数多く執筆されています。

特別法人税については、このブログでも何度か取り上げていますが、iDeCo(個人型確定拠出年金)を含む企業年金の積立金に対して年1.173%を課税するというものです。ただ、1999年度以降は低金利の状況等を勘案して課税の凍結が続いており、2017年3月で一旦凍結期間は切れるものの、昨年12月の与党税制大綱でさらに3年間凍結を延長することとされました(7回目の延長)。

昨年5月に成立した改正確定拠出年金法の国会審議において、特別法人税の廃止について検討を行うこととする付帯決議がなされたこともあり、今回は凍結延長ではなく「廃止」も期待されたところでしたが、結局再延長という結果となっています(正式には年度末の租税特別措置法の改正により確定)。

これに対して、講義の中では、厚生労働省の企業年金部会での議論などを踏まえ、単純に特別法人税を廃止に持ち込むのは難しく、他の税制の見直し(具体的には退職所得控除の縮小)とセットで考える必要があるのではないかという指摘がありました。

企業年金の受け取り時の税制は、一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金で受け取る場合は公的年金等控除が適用される仕組みになっていますが、退職所得控除の枠が大きいことが、一時金での受け取りを多くしている1つの大きな要因となっています。企業年金制度の趣旨からしても、年金での受け取りを促す方向での改正は十分考えられると思います。

ただ、受け取る側にとっては負担の増加につながるものであり、「既得権」の問題も論点となりそうです。ある時点で退職所得控除が急に縮小してしまうと、それを境に世代間の不公平感が大きくなってしまうという問題です。これは、退職金制度の見直す際の論点にも通じるものです。

したがって、退職所得控除を縮小するにしても、改正前の勤務期間については従来通り(勤続20年までは1年あたり40万円、勤続20年超は1年あたり70万円)とし、改正後の期間については1年あたりの金額を小さくしたもので計算するという方法が考えられます(こうやって税金の計算というのはだんだん複雑になってしまうのですが…)。

長期勤続を税制上優遇する意味が薄れてきていることを勘案すると、改正後は勤続年数にかかわらず1年あたり40万円とする案が考えられるかもしれません。

もう1つの論点としては、誰でも年金受け取りができるような制度の拡充が考えられます。すでに企業年金がある場合は、退職所得控除の縮小により枠を超える部分については年金で受け取るという選択も考えられるわけですが、企業年金のない会社の社員はその選択肢がありません。

そうすることで会社側に企業年金制度の充実を促すという考え方もあるとは思いますが、企業年金制度の有無や年金の受給資格等にかかわらず、退職金や一時金をiDeCoや企業年金連合会(通算企業年金)に移せるようにして、広く年金受け取りの機会を確保することも考えるべきではないかと思います。

いずれにしても、特別法人税の廃止には、それ単独ではなく、他の税制や退職給付制度の枠組みの見直しと合わせた議論が必要になりそうです。

もう1つのテーマである医療保険制度については次回、紹介したいと思います。