年末にこちらの本を読みました。



以前、「退職給付は『セレクション アンド バリエーション』の時代へ」の記事の中で紹介した、人事コンサルタントの平康慶浩さんが書いた本です。

この本に書かれているポイントを、年金・退職金を絡めて私なりにまとめると、こんな感じになります。

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1つ目。

出世にネガティブな人は、「会社のためにプライベートを犠牲にして残業や休日出勤もいとわず働く人が出世する」というイメージを持っているかもしれません。

しかし、時代はワークライフバランス。ダラダラ残業するよりも、限られた時間でしっかり成果を出す、つまり生産性を高めることが、高い評価につながる時代になりつつあります。

加えて、より高いレベルの出世を目指すなら、仕事とプライベートが自然と一体化するような「職業人」になること。例えば、私にとってこのブログを書くことは、仕事とプライベートのどちらか一方だけに分けられるものではありません。

いずれにしても、出世によって働き方の裁量や収入が増えることで、より大きな自由を手にしやすくなります。

2つ目。

「王道出世」は今いる会社で昇進すること、しかしそれだけが出世の道ではありません。自分の価値を認めてくれる会社を探すこと、つまり転職という道もあります。これには自分が提供できる価値の見極めが重要です。

そして、自分が提供する価値に対する対価を、給料以外の方法で手に入れるという第3の道もあります。「出世」というのとは少し違うかもしれませんが、私の父や義父は、ずっと勤めていた会社を定年退職して10年近くになりますが、今はこの道で稼いでいます。

3つ目。

ここ15年ほどで、大企業であっても年収の格差が大きく広がっていることが、この本で紹介されています。大企業の正社員でも、出世しなければ年齢とともに年収が上がる保証はありません。

厚生年金は生涯年収に比例しますから、年収が上がらないということは老後の年金も増えないということです。最近個人型の確定拠出年金(iDeCo)が注目されていますが、掛金を出す余裕がなければ、せっかくの税制優遇も活用できません。

また、退職金も最近は職務等級などに応じた「ポイント積み上げ方式」の制度が増えてきており、管理職かそうでないかでポイントに大きな格差がついているケースもあります。

つまり、現役時代の収入の格差拡大は、そのまま老後の収入や財産の格差拡大につながる可能性が高いのです。

一方で、第3の出世の道を踏み出すことができれば、年金や退職金だけに頼ることなく、年を取っても収入を得ることができるのは、上に書いたとおりです。出世の道によって収入や財産を確保する方法は違いますが、出世は老後を豊かにするための方法でもあります。

出世を「生涯、自分らしく生きるための方法」と考え、自分なりの出世の道を歩んでみませんか?

これが、私が読み取った、この本の発しているメッセージです。