※この記事の最後に、iDeCoに加入した時のキャッシュバック(節税)額を試算できるエクセルファイルを載せています。なお、iDeCoに加入して実際に節税できた額を知りたいという方はこちらの記事をご覧ください。

年末調整で戻ってくる税金の額

2016年も終わりに近づき、会社員の方には12月の給与明細とともに源泉徴収票が届いているかと思います。今年から形が縦長に変わり、昨年までより少し情報量が増えていますが、金額の計算自体に大幅な変更はありません。

以下は、税額の主な計算部分を抜き出したサンプルです。
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上のサンプルで見た場合、左上にある「支払金額」の6,000,000円が今年支給された給与・賞与の総額です(天引き前の額面年収)。これに対して、年収から差し引かれる最終的な今年の所得税の額は、右上にある「源泉徴収税額」の148,500円です。

1~12月の毎月の給与から天引きされた所得税(毎月の給与明細に書かれています)の合計額が148,500円よりも大きかった場合は、取りすぎた分が「年末調整還付」として戻ってきます。逆に小さかった場合は、足りてない分が追加で徴収されます。

年末調整還付は、12月の給与と一緒に振り込まれることが多いですが、会社によっては翌年1月になることもあるようです。なお、還付ではなく追加徴収の場合は、給与の振込から差し引かれる形になります。

給与所得控除

では、今年の額面年収である6,000,000円から源泉徴収税額の148,500円はどのように計算されているのか?

まず「みなし経費」として、額面年収から差し引く額が以下のように計算されます(給与所得控除といいます)。
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(給与所得控除の詳細については国税庁のこちらのページへ)

6,000,000円から、給与所得控除の1,740,000円を引いた4,260,000円が、「給与所得控除後の金額」として源泉徴収票に記載されています(「支払金額」の右)。

<サンプルを再掲>
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保険料等の控除と課税所得の計算

次に、源泉徴収票サンプルの下のほうに記載されている「社会保険料等の金額」「生命保険料の控除額」「地震保険料の控除額」を合計した950,000円と、基礎控除の380,000円を合計した1,330,000円が、「所得控除の額の合計額」として源泉徴収票に記載されています(「給与所得控除後の金額」の右)。

「社会保険料等の金額」には、毎月天引きされている社会保険料(厚生年金、健康保険、介護保険、雇用保険の4種類。毎月の給与明細に書かれています)の合計が入っています。また、「生命保険料の控除額」「地震保険料の控除額」は、それぞれ年末調整で申告した額が入っています。

なお、上記サンプルにはないですが、配偶者控除など、扶養している家族に対する控除などがある場合は、その金額も「所得控除の額の合計額」に加算されます。

そして、「給与所得控除後の金額」4,260,000円から、「所得控除の額の合計額」1,330,000円を引いた、2,930,000円をもとに所得税を計算することとなります。この293万円を課税所得といいます。

税額控除と源泉徴収額の計算

課税所得にかかる所得税の税率とその計算は以下のようになります。
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(所得税率の詳細については国税庁のこちらのページへ)

ここで出てきた195,500円から、源泉徴収票サンプルの右下にある「住宅借入金等特別控除の額」の50,000円を差し引いた145,500円に、東日本大震災の復興特別税として2.1%(3,045円)を加え、100円未満を切り捨てた148,500円が、最終的な源泉徴収税額となります。

<サンプルを再掲>
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住宅借入金等特別控除は、一般に「住宅ローン控除」とか「住宅ローン減税」と呼ばれているものであり、年末調整で申告した額が入ります。保険料の控除とは異なり、最後の段階で所得税の額から直接差し引かれるため(これを税額控除といいます)、節税効果が大きくなります。

税金の計算てほんとに複雑ですね。以下に、額面年収から最終的な源泉徴収税額が出てくるまでの流れをまとめてみました(金額単位は万円)。
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(画像をクリックして拡大)

iDeCoに入ると税金はどうなる?

で、ここから本題だったりするのですが、上記サンプルでは源泉徴収票の「社会保険料等の金額」の欄の中に小さく書いてある「内」が0円になっています。

もし、個人型の確定拠出年金(iDeCo)に入っていたり、企業型の確定拠出年金でマッチング拠出(自分の給与から掛金を上乗せして積み立てること)をしていた場合は、ここにその年間掛金額が入ることになります(iDeCo掛金を個人口座からの引き落としで払っている場合は、年末調整で申告した額が入る)。

会社員がiDeCoに積み立てられる掛金は年間最大27.6万円であり、この額を掛けていたとすると「社会保険料等の金額」に27.6万円が加算され、源泉徴収税額は以下のようになります。
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(画像をクリックして拡大)

掛金の分だけ課税所得が少なくなり、最終的な源泉徴収税額は120,300円と、28,200円安くなります。つまり、その分年末調整還付で戻ってくるお金が増えることになります。さらに(源泉徴収票には記載されませんが)、翌年に天引きされる住民税も掛金の10%(27,600円)程度安くなるので、その分手取りが増えます。

ということは、276,000円の掛金を払っていても、計55,800円程度のキャッシュバックがあるので、実質的な負担は220,200円で済むということですね。iDeCoに加入すると年間数千円の手数料がかかりますが、それよりもずっと多くの税金が返ってくることになります。

最後に、源泉徴収票の金額から、iDeCoに加入した時のキャッシュバック(節税)額を試算できるエクセルファイルを載せておくので、加入を考えている方は使ってみてください。
iDeCo節税額試算_H28.xlsx
(右クリックで「名前を付けて保存」)

注:2016年の税制をもとに作成しています。2017年以降は結果が変わる可能性があります。また、計算の正確性を保証するものではありません。