確定給付企業年金を実施している企業は、毎事業年度、「事業報告書」と「決算に関する報告書」を作成し、地方厚生局(厚生労働省の出先機関)に提出するとともに、制度に加入している従業員がいつでも見られるようにしておく必要があります(担当者以外で見る人はいないでしょうけど)。

2017年から、確定給付企業年金にリスク対応掛金等の仕組みが導入されるのに合わせ、これらの提出書類の様式も一部変更されています。各企業は、遅くとも2019年3月31日の財政決算からは、新様式に切り替える必要があります。

具体的には、事業報告書の「資産運用状況」の項目に、予定利率や調整率(リスク分担型企業年金を実施している場合)、資産運用委員会の設置の有無を記載する欄が追加されていたり、運用資産の構成についても、より詳細な資産の種類及び運用機関別の記載が求められます。

また、従来、事業報告書にはなかった「給付設計に関する報告書」も提出書類に追加されているため(これまでは給付設計を変更した際になどに必要だった様式)、担当者の手間も少し増えることになりそうです。

ところで、この事業報告書に限らず、企業年金に関する行政へのあらゆる手続きは、基本的に「紙」で提出しなければなりません。2000年頃に「e-japan」の名のもとに、各種の申請手続きをオンラインでできるようにみたいな話がありましたが、企業年金の分野ではそのころから特に進展は見られません。行政側としても大量の書類は扱いに困ると思うんですけどね…

もしオンライン化するとしたら、もちろん今の紙ベースのものをそのまま電子化するということではなくて、オンライン化を前提にした設計に全面的に見直すことが前提だと思いますが、それができれば業務の効率化とともに統計情報を取り出すことも容易になるはずです。

今は、企業年金連合会や各金融機関がそれぞれの会員や顧客企業を対象に、財政や資産運用の状況を統計情報として取りまとめていますが、これらの情報は基本的に全て行政にあるものです。現在紙で提出されているものが、適切な形でデータで提出されるようになれば、すべての確定給付企業年金を対象とした統計データを容易に集計できるようになるでしょう。

行政には、情報をため込むだけではなく、それを一般に活用できるようにするにはどうすればよいのかという視点ももってもらいたいところです。