先週2日、企業会計基準委員会が開催され、退職給付に関しては以下の2つのテーマについて審議が行われました。
  1. 実務対応報告「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い」【公表議決】
  2. マイナス金利に関連する会計上の論点の検討


1.リスク分担型企業年金の会計処理

これについてはほぼ議論が収束しており、事務局の提案どおり最終基準が公表されることが決まりました。今年6月に公開草案が公表され、2か月のコメント募集期間を経て、その後寄せられたコメントを踏まえて議論が続けられてきたわけですが、大枠としては公開草案の内容と変わっていません。
(リスク分担型企業年金とは?等についてはこちら

制度の導入時に規約に定められた掛金以外に企業が拠出義務を実質的に負っていなければ、会計上は「確定拠出制度」として扱うということとなり、確定拠出年金と同じように退職給付債務の計上は不要となります。

本文で、公開草案から修正されたのは、確定拠出制度であるかのどうかの「分類の再判定」を「新たな労使合意に基づく規約の改訂の都度」行うこととしていたのを、規約の改訂に限定しない書きぶりに見直したくらいで、あとは「結論の背景」のところで、主に以下のような趣旨での加筆・修正が行われたようです。
  • リスク分担型企業年金で給付が減額された場合でも、その分、退職一時金の給付額を増やして総額を維持するような制度設計(内枠方式)としている場合は、企業は追加的な拠出義務を負っており、確定給付制度に分類される
  • 特例掛金については、特例掛金が拠出された場合には、将来拠出する他の掛金を減額して拠出の総額が変わらないようにあらかじめ規約に定められていれば、追加的な拠出義務はないと判断される
最終的には、厚生労働省から関連する政省令が出た後に、その内容を確認してうえで公表するということで、あとは政省令待ちになりました。

2.マイナス金利に対する割引率の設定

これについては、2016年3月期決算では「議事概要の公表」という暫定対応で、「割引率をマイナスにするのもゼロ止めするのもどちらも可」となっていたのを、2017年3月期決算に向けてどうするかというところが主な論点になっています。

今回事務局からは、今後も引き続き検討を行うことを前提としながら、当面はどちらの方法も許容し、今後マイナス幅が著しく拡大した状態が継続するような状況になった時には見直しを含めて検討するという趣旨の「実務対応報告」が提案されたようです。

マイナスとするかゼロ止めするかについては国際的にも議論が割れており、短期間では決められないので当面は暫定対応のままでいくということですね。

これに対しては各委員から様々な意見が出され、マイナスとするかゼロ止めするかの中身の話だけではなく、開示のあり方や、これを会計方針と考えるのかどうか、あるいは今回実務対応報告という形で出すのがよいのかといった進め方に関してもいろいろ議論があり、来年3月までに明確な結論が出ないことだけは間違いなさそうです。

ただ実務上の混乱を避けるには何らかの形で基準となるものを示す必要があるという点ではほぼ一致しており、「実務対応報告」という形で基準が出るかどうかは別にして、2017年3月期においてもひとまずどちらの方法も可となる可能性が高そうです。