選択制DCと個人型DCの比較の4回目、今回は残る失業手当との関係について比較したうえで、これまでの結果をまとめようと思います。

(3回目までの記事はこちら)
老後資金の観点から
障害・遺族給付との関係
休業補償との関係

雇用保険から給付される失業手当は直近6カ月間の給与の平均に基づいて計算され、60歳未満であれば、失業前の給与の水準に応じて5~8割が支給されます(但し上限あり)。

こちらのサイトで計算したところでは、30~44歳、勤続満10~19年だと、
  • 平均月給が40万円:給付日数は120日で総額80万円
  • 平均月給が38万円:給付日数は120日で総額76万円
という結果になりました。

つまり、選択制DCに月2万円拠出していると、失業したときには1カ月当たり1万円給付が減ってしまうということです。一方で個人型DCの場合には失業手当への影響はありません。失業手当との関係は、前回の休業補償との関係とほぼ同じですね。

比較結果のまとめ

ここまでの結果をまとめると、まず老齢・障害・遺族の各厚生年金については、選択制DCへの掛金拠出期間に応じて徐々に水準が低下していくことになりますが、その分DCの資産や、税・保険料の軽減額も積みあがっていくため、トータルではプラスとなり、前提条件によっては個人型DCよりも「おトク」になる可能性もあります。

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各厚生年金の支給要件が満たされる状況では、基本的にはDCの給付も受けられる状態にあるため、年金の減少額をDCの給付でカバーすることができます(但し障害等級3級の場合は厚生年金のみ受給できるケースもありそうです)。

一方で、病気やケガなどによる休業や失業によって、給与の支払いがなくなった場合の給付(傷病手当金など)については、直近半年~2年程度の給与水準によって金額が算定されるため、選択制DCへの拠出を始めてから短期間で給付水準が低下します。

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もしこの状況で休業または失業状態になっても、それによってDCから給付が出るわけではないため、個人的DCの場合やDCに加入しない場合と比べても不利になります。貯蓄や(民間の)保険等での備えに不安がある場合には、選択制DCへの加入や掛金額の設定にあたって注意したほうがよいでしょう。

また、出産手当金や育児休業給付金については前もって休業期間の予定を把握できますので、選択制DCに加入している場合はその時点で掛金額の設定をできるだけ低くしておくことで、不利益を回避できる可能性があります。