先日、国民年金基金連合会から公表された決算結果についての記事を載せましたが、企業年金連合会からも2015年度決算の結果が公表されています(「企業年金連合会とは?」についてはこちら)。

2015年度は5年ぶりのマイナス利回りで1429億円の不足金を計上していますが、ここ何年かの「貯金」もあって1兆円の剰余金(必要積立額である責任準備金に対して+9.5%)を確保した状態にあります。しかし企業年金連合会の決算には年金数理人の「所見」がついており、これを読むと決して安心できないことがわかります。

最低責任準備金の返還
2015年度末の責任準備金は10.7兆円となっていますが、このうち国の厚生年金の代行給付に相当する部分(最低責任準備金)が8兆円以上であり、将来的にはこれと同額の資産を返還する必要があります。返還後は残った資産とその運用収益で上乗せ部分の給付と制度の運営コストを賄っていく必要があります。

上乗せ部分の予定利率
上乗せ部分の給付は3種類に分かれ、それぞれの平均予定利率は次のとおりとなっています。
  • 厚生年金基金基本プラスアルファ部分:4.55%
  • 厚生年金基金加算部分:2.25%
  • 確定給付企業年金:2.20%
このうち、一番予定利率の高い「基本プラスアルファ部分」の債務が圧倒的に多いため、このままいくと予定利率4%以上となって運用のハードルが非常に高くなってしまいます。

業務経理への繰り入れ
企業年金連合会では、制度運営コストを賄うため、「業務経理への繰り入れ」として年金資産から毎年60~70億円の資金を拠出しています。最低責任準備金の返還後は資産規模が大幅に縮小するため、この「業務経理への繰り入れ」は無視できない負担となります。


数理人の所見では「今後は資産規模の縮小を前提とした、特に代行返上も見据えた財政運営を行っていかなければならない。」「今後の連合会の業務や組織のあり方及び経費の調達方法等、総合的な経営戦略の再構築について早急に検討する必要がある。」と指摘していますが、ではどのような対応が考えられるのか。

続きは次回に。