1週間ほど前になりますが、「桃太郎が鯨に勝ち続ける理由」と題する記事がブルームバーグのサイトに掲載されていました。

「桃太郎」とは岡山県機械金属工業厚生年金基金のことであり、「鯨」とは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のことです。つまり、国の年金運用よりも高い実績を上げ続けている年金基金の運用について取材した記事です。

その運用内容は、タイトルにもあるとおり「米国5割、欧州3割、新興国1割、日本1割」という地域配分であり、金利の低い各国の国債や政府機関債の長期保有はなく、低リスク投資にあてているのは住宅ローンを担保とした債券や新興国の債券といった「オルタナティブ系」の投資だということです。

この記事、NewsPicksでも取り上げられており、「資産規模の全く違う両者は比較の対象にならない」というコメントがいっぱいでそれはそのとおりなのですが、厚生年金基金にとってGPIF以上の運用利回りを上げることは非常に重要な意味を持ちます。

というのは、多くの厚生年金基金では給付の7~8割程度を国の厚生年金の代行給付が占めており、この部分の債務(=国に対して負っている債務)には、ほぼGPIFの運用利回りに連動した利息がつくルールになっています。

つまり、GPIFよりも好成績を上げればその分は基金独自の上乗せ給付の原資に回せる一方で、GPIFの成績を下回れば上乗せ給付の原資を取り崩さなければならないことになります(穴埋めは基金に加入する中小企業が負担する掛金による)。

なので、厚生年金基金にとってはGPIFと異なる運用を行うことが「リスク」であり、「桃太郎」はそのリスクを取って「鯨」に勝ったということになります(そのあたりも掘り下げた記事だとよかったと思いますが)。

ただ、厚生年金基金は法改正により原則廃止されることが決まっているので、「桃太郎」も代行部分は国に返して、純粋な企業年金である確定給付企業年金に移ることになるでしょう。そうなるとGPIFとの勝ち負けは意味をなさなくなるので、リスクの取り方は変わることになります。