「退職金・年金の超キホン」シリーズの10回目です。第8回からは国の年金について解説しています。

第8回:日本の年金制度は破たんしている?
第9回:生命保険にもなる国の年金

国の年金は「国民年金」と「厚生年金」の2つに分けられます。国民年金は20歳から59歳の国民全員が加入する制度、厚生年金はその中で「雇用されている人」、つまり会社員や公務員が加入する制度です。但し、厚生年金の加入対象年齢は15歳から69歳までと、国民年金よりも広くとられています(例えば高卒で就職した場合は18歳から厚生年金に入ることになります)。

従来は、公務員や私立学校の教職員が加入する「共済年金」というのが別にありましたが、昨年、厚生年金に統合されて今はなくなっています(被用者年金の一元化)。

国民年金の加入者になると、月に16,260円の国民年金保険料を納めることになります。この金額は2016年度の金額であり、2005年度以降2017年度まで、毎年280円ずつ段階的に引き上げられているところです。さらに物価や賃金水準による調整も行われるため、2017年度以降も毎年度金額は改定されることになります。

保険料を納めていないと「未納」となり、将来年金を満額受け取ることができなくなります。また、本来40年間ある加入期間が25年に到達していないと(つまり未納の期間が15年以上あると)、年金は一切もらえません。但しこの「年金をもらうため最低必要期間」は25年から10年に見直される方向です(その財源にあてるつもりだった消費税の引き上げが先延ばしになったため、財源は別のところからねん出することになるのでしょう)。

なお、収入がないなどの理由で保険料を納めるのが難しい人には保険料の一部または全部を免除(あるいは猶予)する仕組みがあります。免除が認められた期間については「未納」とは異なり、「年金をもらうための最低必要期間」にカウントしてもらえます(但し免除を受けた分については年金額は半分に減らされます)。また、60歳になっても加入期間が40年に満たない人は65歳まで、加入期間が年金をもらえる25年に満たない人は70歳まで国民年金に加入できる仕組みもあります。

一方、厚生年金に加入(会社に就職)すると、給与天引きで厚生年金保険料を納めることになります。厚生年金保険料は国民年金保険料のように一律金額が決まっているわけではなく、給与や賞与の一定割合を納めることになります。この一定割合が「保険料率」であり、こちらも2004年以降2017年まで段階的に引き上げられているところです。2016年9月からは18.182%、2017年9月以降は18.3%となります。

なお、厚生年金保険料は会社と本人が半分ずつ負担することになっています。なので、給与から天引きされるのは9%ちょっとです(正確には給与の額そのものではなく、30段階に区分された「標準報酬月額等級」に応じて計算されます)。 また、厚生年金保険料を納めると自動的に国民年金保険料も納めている扱いになります。

というわけで、20歳から59歳までの国民は、国民年金保険料か厚生年金保険料を納めることになるわけですが、国民年金に加入しているにも関わらず、保険料を負担していない人が存在します。それが「第3号被保険者」です。ちなみに、国民年金保険料を納めている人(未納の人や免除されている人を含む)が第1号被保険者、厚生年金保険料を納めている人が第2号被保険者です。

第3号被保険者とは、第2号被保険者に扶養されている配偶者を言います。一般的には「サラリーマンの妻」とか「専業主婦」と呼ばれますが、働いている妻に扶養されている「専業主夫」も第3号被保険者となります。

「第3号被保険者である妻は会社で働く夫に代わって家庭を守っているのだから、妻が負担すべき国民年金保険料は夫の厚生年金保険料に含まれている」というような考え方(解釈)によって、保険料を納めなくてもよい扱いになっているのですが、明らかに時代の流れにはそぐわないものになっています。第3号被保険者の存在があることで、「パート勤務は厚生年金保険料を払わなくていい範囲に収めておこう」というようなことが出てきます。

(「雇用されている人」は基本的に厚生年金の加入者になりますが、労働時間の短い人などは対象外となります。詳しくは「パート社員への厚生年金適用拡大」をご覧ください。)

しかし「第3号被保険者」をなくしてしまうと、当然不利になる人も出てきます。保険料(率)の引き上げを見てもそうですが、年金制度の見直しは基本的に微調整の繰り返しです。だから経過的な扱いがいっぱい増えて分かりにくくなってしまうのですが、急激な影響を緩和するには仕方のない面もあります。

女性の就労を抑制する第3号被保険者の仕組みをこのままずっと存続させるのは無理があるような気がしますが、それでもいきなりなくしてしまうということではなく、いくつかの段階を踏んで最終的には第1号と第2号に吸収されていくのではないかと考えています(パート社員への厚生年金適用拡大も、その一段階と考えることができるかもしれません)。