昨日の記事でDCの受け取り方法と税金との関係について書きましたが、国民健康保険料との関係がどうなっているのか、調べてみました。

会社を退職し、無職(または自営業者等)になると、基本的には国民健康保険に加入することになります。国民健康保険料は市区町村によって異なるため、ここでは大阪市を例に取り上げることにします。

国民健康保険料は平等割、均等割、所得割の3つの算定方式による合計で計算され、このうち所得割が収入金額に応じて増減することになります。もう少し正確に言うと、「算定基礎所得金額」に一定率を掛けて算定されることになります。

この「算定基礎所得金額」は「総所得金額」から33万円を控除した額となり(年額)、「総所得金額」には「年金所得」、つまりDCを含む公的年金等の収入金額から「公的年金等控除」を差し引いた額が含まれます。一方「退職所得」はこの「総所得金額」には含まれません。

つまり、DCを一時金で受け取った場合は国民健康保険料には影響しませんが、年金で受け取った場合には「所得割」に影響する可能性があるということです。

年金以外の収入がないとした場合、「公的年金等控除」を差し引くところまでは税金の計算と同じですが、国民健康保険料の「所得割」の計算ではそこから33万円のみが差し引かれるのに対して、税金の計算では基礎控除として38万円(所得税の場合。住民税については33万円)、社会保険料控除として国民健康保険料を含む社会保険料全額、その他条件を満たせば扶養控除等の各種控除分が差し引かれます。

したがって、国民健康保険料の所得割の対象となる「算定基礎所得金額」は、課税対象となる「課税所得」よりも大きくなります。

さらに、所得税の税率は課税所得が195万円以下であれば5%で済みますが、所得割の額は「算定基礎所得金額」に対して13.32%(介護保険料の対象となる40~64歳の被保険者がいない場合は10.82%)となっています。ちなみに住民税にも「所得割」があり、原則として課税所得に対して10%となっています。

所得税の税率は、課税所得が195万円を超える部分については10%、330万円を超える部分には20%、…と段階的に上がっていきますが、退職して給与収入がない状況では10%以下に収まるケースがほとんどでしょう。となると、所得税、住民税(所得割)より国民健康保険料(所得割)のほうが負担が重くなる可能性が高いといえます。

DCを「年金」として受け取る場合は、この点も考慮して受け取り期間や各年の受取額を決めるのがよさそうですね。