「確定拠出年金法の改正について、企業の立場から課題や論点をまとめてください」というオーダーを受けて原稿を書いていたところで、ふと総合型DCはどう対応したらいいのだろうかということが気になりました。

総合型DCというのは、1つの年金規約に(資本関係等の有無に関わらず)複数の企業が参加するという形で運営されている企業型DCのことです。各企業にとってはプランを自由にカスタマイズすることはできませんが、独自に規約を設けて運営するよりも、事務面、費用面での負担を軽くできるというメリットがあります。

今回の法改正に伴い、総合型DCを含む企業型DCにおいては、
といった点について検討、対応していくことが求められます。

このうち、継続教育に関しては事業所単位で実施できますが、残りの5項目については規約単位で対応を決めていく必要があります。従って、総合型DCにおいては、参加する各事業所(企業)の意見を調整・集約したうえで、対応を決めるというのが本来的なやり方でしょう。

<2017/3/24追記>
従業員拠出(マッチング拠出や個人型との併用)に関しては、事業所単位で対応を選択することが可能です。
<追記終>

しかし総合型DCには、総合型の厚生年金基金や確定給付企業年金にある「代議員会」(各事業所の事業主や加入者等により構成)といった組織はなく、規約変更の申請等を取りまとめる「代表事業主」が存在するのみです。

そして、運営管理機関の主導で実施している総合型DCの代表事業主は、その運営管理機関のグループ会社や関係の深い会社が務めているため、運営管理機関の意に沿わないような対応をとることはまず期待できません。特に、上にあげた6点目の「運営管理機関の評価」については、これを適正に実施できるような立場ではないでしょう。

となると、代表事業主以外の参加企業としては、自社の希望する対応がとられない場合はプランの乗り換えという選択肢しか実質的にはないような気がします。

プランの乗り換え先としては、①他の総合型DC、②独自に企業型DC規約を設ける、③個人型DCの3つが考えられますが、いずれにしても手続きに手間がかかるだけでなく、従業員は一旦すべての商品を現金化したうえで、新しい年金規約での商品を選びなおす必要があり、しばらく運用できない期間が発生してしまうというデメリットがあります。

これは、総合型DC以外の企業型DCでも、運営管理機関を変更する際には同じようなことが言えます。

今回の法改正では「運用の改善」ということで上にあげたようないくつかの見直しが行われることになりましたが、より実効性を持たせるためには、規約の乗り換えや運営管理機関の変更がもっと柔軟に行えるようにしていく必要があるように思います。