ちょっと前の話になりますが、47都道府県にある国民年金基金を一本化するというニュースがありました。

この国民年金基金という制度、会社員には直接関係ないのですが、個人型の確定拠出年金(DC)と似ているところもあるので、これを機会に概要をまとめておこうと思います(ちなみに「似たものとの違いを明らかにすることが理解を助ける」というのは当社社長のモットーです)。

では、まず両者の共通点から。

1.所得控除できる
国民年金基金は「社会保険料控除」、個人型DCは「小規模企業共済等掛金控除」と名称は異なりますが、両方とも支払った掛金は全額所得から控除できます。課税所得が400万円の場合、所得税・住民税の合計で掛金額の3割程度が軽減されるので、実質的な負担は7割程度で済みます。
また、年金で受け取る場合に「公的年金等控除」を受けられる点も同じです。

2.掛金の上限は月額68,000円(自営業者の場合)
自営業者の場合、両方とも掛金の上限は月額68,000円です。2つの制度に加入する場合は、合計して月額68,000円以内にする必要があります。

3.自由に脱退できない
一度加入すると自分の都合で勝手に脱退することはできません。ただし掛金の支払いを止めることはできます。
なお、会社員になるなどして制度の加入対象から外れた時は加入資格を喪失し、それ以降掛金の払い込みはできなくなります。

4.60歳になるまで受け取れない
上記3と関連しますが、制度を脱退することによる一時金等の支払いはありません(個人型DCには一部例外あり)。加入資格を喪失した場合でも、年金や一時金を受け取れるのは60歳以降です。
なお、60歳より前に死亡した場合はその時点で遺族に給付が支払われます。

5.国民年金基金連合会がとりまとめている
2つの制度とも国民年金基金連合会という組織がとりまとめています。


一方で異なる点は次のとおりです。

1.国民年金基金は給付建て、個人型DCは拠出建て
国民年金基金はいくつかの給付の型があらかじめ決められており、その給付内容と加入時の年齢・性別によって掛金が計算されています。
一方、個人型DCは5000円以上1000円単位で自由に掛金を設定し、自分で運用商品を選び、その運用結果によって給付の額が決まります。

2.国民年金基金のプランは全国共通、個人型DCのプランは取扱金融機関により異なる
国民年金基金には地域型(冒頭のニュースにあるように、現在は各都道府県に1つずつ)と職能型(全部で25の職種)があり、いずれか1つに加入することになりますが、どこに加入してもプランの内容は同じです。
一方、個人型DCは各金融機関が各種手続きの窓口や運用商品の提供を行っていることから、金融機関によって手数料や選べる商品が異なります。

3.国民年金基金に入れるのは自営業者のみ、個人型DCは誰でも入れるように
国民年金基金に加入できるのは国民年金の第1号被保険者(自営業者)に限られます。会社員の厚生年金(年金制度の2階部分)に代わるものという位置づけです。
一方、個人型DCは自営業者のほか、企業年金の対象となっていない会社員も加入することができます。こちらは企業年金(年金制度の3階部分)に代わるものという位置づけです。

ただ、来年からは基本的に誰でも個人型DCに入れるようになります(企業型DCの加入者は各プランによる)。1階部分の公的年金が縮小していく中で、そこをカバーする役割も期待されています。

4.国民年金基金は終身年金が基本、個人型DCは一時金での受け取りも可
国民年金基金は65歳開始の終身年金が基本となっています。60歳または65歳から支給される確定年金(支給期間は15年、10年、5年)を組み合わせることがもできますが、年金額の半分以上は終身年金になるようにする必要があります。また、死亡時を除いて一時金での給付はありません。
一方、個人型DCは60歳になれば一時金で受け取ることができ、5年~20年の有期年金を選択することも可能です(プランによっては終身年金も選択可)。

これは上記3のとおり、国民年金基金は厚生年金の代わり、企業型DCは企業年金の代わりという位置づけの違いによるものと考えられます。

5.国民年金基金は派手に広告、個人型DCのPRは地味
両方とも国民年金基金連合会が取りまとめを行っている制度ですが、その扱いの違いは連合会のサイトを見れば一目瞭然です。国民年金基金はトップページにどーんと出ていますが、個人型DCのページは下の階層に追いやられ(?)、デザインもパッとしません。

国民年金基金はこんなCMまでやってます。


一方の確定拠出年金、CMはおろか広告の類をほとんど見たことがありませんね…

しかし今回の確定拠出年金法の改正に伴い、個人型DCの普及・推進に向けた取り組みが始まっています。先月の記事にも書きましたが、NISAにならって個人型DCの愛称が募集されることになりました(詳しくはこちら)。


ということで、今回は国民年金基金と個人型DCの共通点と相違点についてまとめてみました。「じゃあ入るならどっちがいいの?」ということになりますが、これについてはまた明日。