「老後資金」で検索してみると、「1億円必要」とか「3000万円必要」とか「いや1500万円でいい」とか、いろんな数字が出てきます。本当はいくらなんでしょうか。

私はこれらの金額自体に大した意味はないと思っています。だって必要な額は人それぞれ違うから。

でもこうした金額がどういう考え方で出てきているのかを知ることは大きな意味があると思います。それを自分の状況にあてはめることによって、自分にとっての必要額がいくらなのか、足りない場合にどうしたらいいのかを考えることができるからです。

では順に見ていきましょう。

1.「1億円必要」説
生命保険文化センターの調査によると、ゆとりある老後生活費の平均は月35万円程度です。これに、老後の期間を25年(65歳から90歳)として必要額を計算すると、
35万円×25年×12≒1億円

となります。

2.「3000万円必要」説
公的年金受給者のうち、夫婦世帯の公的年金の平均額は月22万円程度です。なので、公的年金以外に月10万円あればいいとして1.と同様に考えると、
10万円×25年×12=3000万円

となります。 
1.との違いは「公的年金以外に必要な額」としていることです。

3.「1500万円必要」説
高齢夫婦無職世帯の平均支出額(税・保険料を含む)は月27万円程度です。上記2の公的年金の平均額から不足しているのは5万円です。したがってこの不足を埋めるのに必要額は
5万円×25年×12=1500万円

となります。
2との違いは生活費を「ゆとりある金額」と見るか、「実平均額」と見るかです。

支出を把握する

以上、3つの金額の根拠らしきものを紹介しましたが、これらは一例にすぎません。例えば1.で生活費を月30万円、老後の期間を60歳から90歳の30年としても1億円に近い数字になります。どんな金額にしてもそれらしい根拠をつくることはできます。

じゃあどう考えるかということですが、まず支出のほうに目を向けると、生活費については現役時代の水準に左右される部分が大きいと思います。リタイヤしたからといって急に生活水準を下げるのは難しいでしょう。

ただ子どもが独立したり住宅ローンの返済が終わったりすればその分の負担は軽くなります。実際、消費支出の平均額を比べると、50~59歳の世帯と比べて70歳以上の世帯は月10万円程度低くなっています。今生活費として何にいくら使っているのかを把握できれば、老後の生活費もある程度イメージできるのではないかと思います。

生活費以外の支出としては、旅行などの趣味や車、住宅の修繕費などがあげられます。移住や起業を考える人もいるかもしれません。

その他医療や介護などへの備えもあると安心かもしれませんが、それよりも「こんな老後を過ごしたい。だからこれだけお金を使いたい。」と考えた方が楽しみがあって、現役時代を有意義に過ごせるのではないでしょうか。

収入を把握する

老後の収入の柱はやはり公的年金です。70歳以上の高齢夫婦世帯になると、収入に占める公的年金の割合は80%を超えます。

2009年以降、「ねんきん定期便」として毎年1回、これまでの加入実績に基づく年金額のお知らせが届くようになりました。50歳以上になると、60歳まで同じ条件で加入した場合の年金の見込額も記載されるようになります。

また、「ねんきんネット」に登録すると、いつでも最新の記録をインターネットで確認することができます。

これらを確認することで公的年金の受取額を把握することが可能になります。

そして支出に対して公的年金で足りない部分を会社からの退職金や企業年金、自分で積み立てる貯蓄や投資、個人年金などでカバーしていくことになります。

老後は何歳から何歳までか?

ここまでの話に加えてもう1つ重要なポイントがあります。それは老後の期間を何年と見るかです。

老後の期間が短ければ、必要額は小さくなります。老後のスタートを遅くすれば、つまりリタイヤの年齢を遅くすれば老後の期間は短くなります。

高年齢者雇用安定法の改正により、会社員であれば60歳で定年を迎えても希望すれば原則として65歳まで勤務することができるようになりましたし、60歳台後半でも男性の5割程度、女性の3割程度は有業者となっています。

高齢になっても自分のペースでできる仕事を持ち、ゆるやかに老後の期間に入っていくのが、お金以外の面(健康や社会とのつながり)から見ても理想的かもしれません。

一方で老後の期間を短くするために終わりを早くするというのは…取れない選択肢ですよね。自分が何歳まで生きるかはわからないですし自由に決められるものでもありません。

これに対してどう考えるか?つづきは明日にします。